米雇用統計が株価やドル円相場に与える影響


  世界中が見守る米雇用統計

雇用統計が株価やドル円に与える影響 株価やドル円相場などの為替相場は様々な要因によって上げ下げします。

その要因は戦争などの地政学的リスクや政治、場合によっては大規模な災害など多岐にわたりますが、基本的には国や地域、世界の経済状況がなにより重要になります。

それをうらなう上で重要になるのが各国が発表する「指標」と呼ばれる経済に関連した数字で、その指標にも鉱工業生産指数や消費者物価指数など挙げだしたらきりがありませんが、そんな中でも世界中が固唾を飲んで見守るのがアメリカの「雇用統計」という指標です。

なぜ米の雇用統計はこれだけ注目されるのか?そしてこの雇用統計は株価や為替相場にどういった影響を与えるのでしょうか。

  雇用統計とは?

そもそも米の雇用統計ってどんなものなのか?

雇用統計はアメリカの「失業率」や農業以外の雇用者数の推移を示す「非農業部門雇用者数」、「時間当たりの平均賃金」など十数項目にわたって発表されるものの、市場がとりわけ重要視するのは失業率と非農業部門雇用者数。

この2つの指標はアメリカの経済の好不調を測る上で非常に重要な数字で、この2つの中でも「労働意志の有無」という曖昧なものに左右される失業率より、雇用者数がはっきりとした数字で表れる非農業部門雇用者数は最重要といっても過言ではありません。

世界第1位の経済大国であるアメリカの経済や景気は世界中に大きな影響を及ぼし、数ある指標の中でも労働者の数というのは企業の業績はもちろん個人の消費にも大きな影響を与えるため重要視されるのです。

■米雇用統計の中でも特に注目されるのは失業率と非農業部門雇用者数
■労働者の数は企業の業績や個人の消費に大きな影響を及ぼすため重要視される

  米雇用統計が株価などの相場に与える影響

そんな世界中が見守る米雇用統計ですが、株価やドル円をはじめとした為替などの相場にはどういった影響を与えるのでしょうか?

雇用統計で失業率が下がったり非農業部門雇用者数が市場予想を上回ると雇用がしっかりと増えていることを意味し、企業の業績や個人消費が伸びている状況と考えられるため株価は上昇する傾向にあります。

また労働者市場が好調ということは物価や賃金の上昇が予想され、いわゆる「インフレ圧力」の高まりを連想させます。

先進国の場合、年2%程度の物価上昇=インフレが安定的な景気拡大に理想的とされ、それを下回ると金利を下げ市場に出回るお金を増やす「金融緩和」を、逆に2%を上回るようだと過度なインフレを起こさないよう市場に出回るお金を抑制する目的で金利を上げる「金融引き締め」が行われ可能性が高まります。

金利を下げる金融緩和は市場に出回るお金が増えるため相対的にお金の価値が下がったと見なされ、また他国に対し金利が低くなるため通貨としての魅力も薄れるため、基本的に金融緩和を行った国の通貨は売られ通貨安になります。

一方、金利を上げる金融引き締めを行うと相対的に通貨の価値が上がり、また金利が高いことによって魅力も高まるため金利を上げるとその国の通貨は買われます

少し前置きが長くなりましたが、米の雇用統計が市場予想を上回る数字になった場合は好調な景気やインフレ圧力の高まりを意味することが多いため「利上げ」が意識されドル高に振れやすくなり、逆に市場予想を下回る、もしくは非農業部門雇用者数がマイナスになったりすると利上げが遠のいたり、場合によっては利下げなどの金融緩和が視野に入るためドルは売られるのです。

一応補足しておくと、本来インフレは物の価値が上がり通貨の価値が下がることを意味するので、経済のセオリーとしては本来インフレになると通貨安になるのですが…近年は「インフレ=利上げ」という見方が強まりインフレが通貨高に繋がる傾向にあります。

基本的には雇用統計の数字が良いと良好な経済を反映してドル高株高に、数字が悪いとドル安株安になるという考え方になりますが、株価に関しては雇用統計の数字が良いからといって上がるとは限らないので注意が必要です。

■雇用統計の数字が良いと好調な企業の業績や消費拡大を意味し株高の傾向
■雇用や企業業績、消費が強いと物価や賃金上昇などから利上げが意識されドル高に

  雇用統計が良いからといって株価が上がるとは限らない

雇用統計の数字が強い場合、良好な企業業績や消費の拡大を意味するため普通に考えれば株価は上昇しますが、良好な雇用統計によって利上げが意識されるとまた話は変わってくるのです。

というのも、利上げ…いわゆる金融引き締めは市場に出回るお金を抑制するため株式市場に流れるお金も減ることが予想されるので株価は下がる傾向にあり、また金利が上がると国債の購入など比較的安全な運用でもある程度の利益が見込めるようになるので株が売られ国債が買われる動きになりやすくなります。

つまり、良好な雇用統計によって経済の堅調さを示されたからといって必ずしも株価にとってプラスになるとは限らないのです。

これは逆もまたしかりで、弱い雇用統計によって利下げなどの金融緩和が意識されると、国債を売って株を買う動きが広がったり、市場にお金が出回って株式市場に流れてくることを予想して株価が上昇することがままあります。

相場ってほんと難しいですね。


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