懸念はギリシャからスペインの金融危機へ

2012年1月に欧州債務問題について書いた「欧州債務問題の原因と経過」を書いてから半年、2012年7月現在欧州危機は新たな局面を迎えております。

当初、欧州債務問題の中心にいたギリシャは、紆余曲折の末欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)によって示された厳しい財政緊縮策を受け入れる代わりに支援を受ける事で合意しましたが、2012年5月6日の総選挙では緊縮財政に反対する急進左派連合(SYRIZA)が第2党に躍進する一方、緊縮財政を推進してた全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と新民主主義党(ND)は苦戦を強いられ、連立を組んでも過半数に届かず組閣できない事態に陥りました。

それにより6月17日に再選挙が行われる事になりましたが、EUやIMFは次なる支援に向け6月中に追加の緊縮財政策をまとめるようギリシャに求めており、スケジュール的に極めて厳しい状況に。

結局再選挙の結果は緊縮財政派の第1党の新民主主義党(ND)と第3党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が連立で過半数を確保し、様々な課題はあれど一定の落ち着きは取り戻しました。

しかしそれに代わるように出てきたのはスペインの金融危機で、5月にスペインの大手銀行バンキアが経営破たんした事に端を発し、しかもスペイン政府は190億ユーロという巨費を投じて救済しようとしたため混乱が起きる。

これによりスペインの国債は売られ、危険水準とされる国債利回り7%をたびたび超え、市場の関心…というか懸念は徐々にギリシャからスペインの移る事になります。

そしてギリシャやスペインの影に隠れていますが、イタリアの国債利回りも6%前後を維持しており、欧州の様々な問題の一角として地味ながら確実に存在しております。

これらによりユーロは売られる傾向を強めておりますが、7月6日にユーロが利下げを行って政策金利は0.75%となり、日本との金利差縮小によりユーロの売り圧力はさらに強まり、2012年7月11日現在では1ユーロ100円を割り込み、97円台で推移しております。



上のチャートは、左がイタリア10年債で右がスペイン10年債となっています。

これを書いている時点ではイタリア国債が5.8%、スペイン国債が6.6%くらいで推移しておりますが、上のチャートはリアルタイムチャートで利回りは刻一刻と変わりますから、この記事を見た時に国債利回りがどういう動きをしていてもツッコミは無しでお願いします。

現時点で欧州の債務問題や金融危機の特効薬は示されていませんが、欧州はもとより世界的にも支援の動きが広がっています。

しかし「ユーロの潜在的な問題」でも書いているように、17ヶ国が同じ通貨を使い同じ金融政策でやっているにも関わらず、各国の財政や金融機関の監督などはバラバラという状況を改善しない事には根本的な解決は見せないでしょう。

まだまだ予断を許さない状況の欧州債務問題と金融危機ですが、また大きな動きがあれば追記していきたいと思います。

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