勝手に相場観


2012.11.11  経常収支の赤字による国債の金利上昇

財務省が8日に発表した9月の国際収支で、季節的な変動要因を除外して算出した季節調整済みの経常収支が1420億円の赤字と、現行統計を開始した1996年1月以来初の赤字に転落したとの報道がありました。

他のページで簡単な経常収支の説明31年ぶりの貿易収支の赤字について書いた事はありましたが、現在はまた状況が違ってきたので、再び経常収支について取り上げてみたいと思います。

今年2012年の1月に「31年ぶりに貿易収支が赤字になった」と世間(経済界)大騒ぎしていたのですが、貿易収支は「輸出額−輸入額=貿易収支」で求められるため、近年の日本企業による外国での現地生産の活発化や、原発事故による火力発電の稼働率上昇で燃料の輸入が増えたせいで貿易赤字になったもの。

今年年初には31年ぶりだった貿易赤字も、欧米の景気悪化や日本の尖閣諸島国有化によって冷え込んだ日中関係で中国への輸出が減少し、現在では常態化しています。

ちなみに経常収支の内訳は…

■貿易収支 … 上記のように輸出額と輸入額から算出する収支

■サービス収支 … 国境を越えたサービス(輸送、旅行、通信、建設、保険、金融、情報等)
             の取引による収支

■所得収支 … 日本企業が海外で得た収益から、外国企業が日本で得た収益を引いたもの

■経常移転収支 … 発展途上国への援助や、出稼ぎ外国人の母国送金、日本人留学生
              への仕送りなど

…となっており、長年日本の経常黒字を支えてきたのは「貿易収支」なのですが、近年は貿易収支より所得収支が上回る事が多く、そして貿易赤字となった今では所得収支が孤軍奮闘して経常収支を支えているような状況になっています。

経常収支の推移

貿易赤字が出た今年1月の段階では「貿易赤字にはなったものの、経常収支は当面赤字になる事はない」と言われていたのに、まだ一月だけの単発とはいえ経常収支が赤字となる事態に、色々な方面で様々な見方が錯綜しています。

経常収支の赤字によってまず懸念されるのが国債の問題で、現在約92%が国内でまかなわれているが故に、信頼性が高く低金利の日本国債も、経常収支が赤字となって国内の資産が海外に逃げていく状況になると、海外に買ってもらわなければならなくなります。

日本国債を海外に買ってもらうにはそれなりの「魅力」が必要であり、現在の超低金利ではその魅力に欠けますから金利を上げざるを得なくなるのですが、そうやって日本国債の金利が上昇すると、今まで出てこなかった様々な問題が出てきます。

それは住宅ローンの金利をはじめ様々な金利の上昇を引き起こし、また国債金利の上昇は国債の価格が下がる事を意味しますから、国債を大量保有している銀行などは多額の損失が生じ、貸し渋りなどが起きる可能性があり日本経済にも大きな打撃を与えます。

さらに国債利回り上昇は国の借金の金利が上昇する事ですから、国はより多くの金利の支払いを強いられ財政はさらに悪化します。

経常収支の赤字は上記国債の問題に起因する懸念が大きいのですが、経常収支の赤字はその仕組み上、日本から国外に資産が出て行く事になりますから、円を売って外国通貨が買われる事が多くなり、結果円安に振れやすくなります。

円安自体は日本企業にとってプラス面が多いから良いのですが、経常収支の赤字は上記国債問題などでマイナス要素の方が遥かに大きい。

まあ見方によっては円安によって輸出の競争力が高まり貿易収支を改善し、結果経常収支も改善する…という面もありますが…

世間の予想以上に急速に進んでいる経常収支の悪化。
日本には不安要素だらけだなぁ…

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