勝手に相場観


2013.01.15  円安と円高、日本にとってのメリットは?

今日は若干円高に振れたものの、日経平均株価は堅調に77円高の10879円で引け。

この円高の背景には甘利明経済再生担当相による連日の「口先介入」によるものらしく、発言内容は14日TBS番組にて、「良い方向へ向かっている。かなり良いところまで来ている」と評価した上で、同時に「3桁を過ぎていくと輸入価格の上昇が国民生活にのし掛かってくる。うまくハンドリングしなければならない」とも語り、暗に「ドル円は100円未満にしとけ」といったもの。

で、今日も似たような発言を↓

甘利経済再生相は15日、閣議後の会見で、89円台に進行した円安に関連して、日本の国情に見合った水準に市場が自動修正しつつあるとの認識を示した。一方で、過度な円安は輸入物価にはねかえり国民生活にとってはマイナスの影響も出てくると述べ、一方的な円安にも懸念を示した。ただ、適正水準についての言及を避けた。

…まあ言いたい事は分からなくもない(上から目線)。

日本経済にとって円安が好ましいとされていますが、よくよく考えてみると、円安のメリットって輸出関連企業の利益を押し上げる事以外、パッと思いつくものがない。

もちろん投資を行っている方々にとっては「円安→株高」は歓迎するところでしょうし、FXなどでの円売りや外貨預金などを行っている方にとっては直接的な利益になりますが、こと「生活」に限ってみれば、円安が直接的な好影響を与える事ってあまり無い気もする。

一方で円高は、原油価格や多岐に渡る輸入品のコストに大きく影響し、原油価格はガソリンや灯油、電気料金、化学製品など様々なところに影響を与えますし、輸入品を扱っている店舗などは「円高還元」と称して値下げを行う事も多いですし、海外旅行など行こうものなら「円高万歳」となるでしょう。

つまり、より身近で直接的な生活圏での話になると、円高のメリットの方が実感しやすい。

日本国内にいれば為替相場がどう動こうが「1円は常に1円」であり、実際リーマンショック後の急激な円高も、投資を除けばこれといった悪影響は感じられなかった。

もちろん、私が仕事をしている会社が輸出入とは全く無縁のウンコ零細企業だから…という点も忘れてはならないが。

ただし、この「円高のメリットの方が実感しやすい」というのはあくまでも個人レベルの狭い視点(ミクロ)での話であって、国全体や国民全体という視点(マクロ)で見れば、円安の方が遥かにメリットがあるのは言うまでもありません。

…と思いきや、それも微妙だったりします。

日本というと、輸出関連の大企業が名を連ねており「輸出大国」のイメージが強いのですが、実はそんな事もなかったりする↓

貿易依存度

上記はGDPに対する輸出額及び輸入額の割合を、年平均為替レートを一部使用して算出したもので、要は各国のGDPに対してどの程度輸出、輸入に依存しているかの指標であり、総務省・統計局から抜粋したもの。

このデータで見ると、2010年の時点で日本のGDPに対する輸出依存度は14.1%、輸入依存度は12.7%となっており、GDP2位の中国の輸出依存度26.8%やGDP4位のドイツ38.5%、同5位のフランス20.0%より遥かに低く、輸出大国とは名ばかり感が漂う。

つまり、日本は他の先進国に比べずっと「内需型」だったりする。

しかも2010年の上記データですでに輸出割合と輸入割合の差はほとんどないですが、東日本大震災後は原発の停止により火力発電に頼らざるを得ない状況で燃料の輸入がかさみ、最近は輸出額より輸入額が上回る「貿易赤字」が常態化しています。

はじめは甘利明経済再生担当相の円安に警戒感を示す発言に「?」の印象を抱きましたが、上記のような理由から行き過ぎた円安は確かによろしくないのかもしれません。

ここでひとつ疑問に感じるのが「輸出より輸入が多い貿易赤字であるなら、円安はむしろ日本経済に悪影響になり株価は下がるのでは?」という点。

これは日本経済が輸出企業にけん引されやすい上に、日経平均など株価指数は輸出株の比率が多いから、結果円安が株価を引き上げる事になるようですが、それは上場している企業だけの話で、日本全体で見れば現在は「輸出<輸入」である事は間違いありませんから、結論は結局「円安はほどほどにしとけ」となるのかな。



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