2012.03.04 株の税金と源泉徴収の不思議
さて、27日、28日、1日と、3日に渡ってエルピーダ関連の記事を書きましたし、2日金曜日の終値は5円と1円に向けて順調(?)に動いていますし、とりあえず今日はエルピーダから離れて時期的にタイムリーな確定申告絡みの記事でも書きましょうか。
株式投資をやっているのであれば絶対に必要な証券会社の口座ですが、その中に「特定口座」というものがあり、さらに「源泉徴収有り」と「源泉徴収無し」に分けられるというのは、投資家の方々なら大半の方はご存知だと思います。
もしよく分からない方は「特定口座の源泉徴収について」というページで解説していますので、お時間があれば読んでみて下さい。
で、この「特定口座:源泉徴収有り」の口座を使っている場合、利益確定した時点で証券会社により自動的に利益の20%(2013年12月31日までは軽減税率により10%)が税金として引かれるのですが、そのかわり確定申告の必要がないという優れもの。
「確定申告の必要がない」というのは、証券会社が申告してくれるわけではなく、「源泉徴収されて所定の税金を納めているから、収入とみなさなくていいよ」というニュアンスで、法律関連のサイトなどを見てもハッキリと「確定申告の必要はないし、主婦であれば扶養から外れる事もない」と書いている事からも明らか。
コレ、とってもありがたいのですが、なんか変じゃない?
普通の給与収入がある人で考えてみると、会社が年末調整をしないと仮定して、「会社から所得税を源泉徴収されているから、確定申告はしなくていいし、扶養から外れる事もないよ」と言っているのと一緒な気が…
収入というのは何も所得税だけに影響するわけではなく、社会保険料(国民健康保険料)や住民税に大きく関わってくる訳で、給与収入はそれら税金の算出に使われるが、株の利益は算出に使われないという事なのでしょうか?
いや、これも違っていて、例えば特定口座の源泉徴収無しだった場合、1年間の利益が20万円を超えると自分で確定申告しなければならないのですが、この場合株の利益は健康保険料や住民税に影響を与えます(利益分増えます)。
つまり「特定口座:源泉徴収有り」だけは優遇されているという事なのでしょうか?
どうも腑に落ちない…
だったら給与所得を真面目に申告してるなんてバカらしいじゃん!
…と考える人だっているはず。
ただちゃんとした企業に勤めているサラリーマンの給与は完全にガラス張りですから、収入をごまかす事など不可能ですし、今時ちゃんとした企業ならパートでも年末調整してくれるので、当然ごまかしようはない。
ちなみに「年末調整」とは企業が年末に行う、従業員の一年間の収入と所得税を確定させるもので、これを行うと2000万円以上の収入があるか、2つ以上の収入源がある場合を除き、基本的に確定申告の必要はないという、要は会社が行ってくれる確定申告のようなもの。
では年末調整しない会社だったとしたら?
仮に年末調整を行わない会社だったとしても、普通は従業員に源泉徴収票を出し、それに伴って「給与支払報告書」を各市区町村に提出するので、当然1年間の収入は市区町村に筒抜けでごまかしようはなく、大人しく源泉徴収票を持って確定申告に行きましょう。
ちなみに右図(クリックすると大きくなります)のように「給与支払報告書」と「源泉徴収票」は4枚綴りのセットで、会社が源泉徴収票を出してきたという事は、市区町村に「給与支払報告書を提出しているとみて間違いありません。
つまり普通の企業で普通に働いていれば収入をごまかす事など不可能で、変な事をして市区町村に睨まれても損ですから、大人しく申告して、微かな還付金を貰って、住民税と健康保険料を支払いましょう。
…え? 何?
仮に源泉徴収されて所得税は払ってるけど、源泉徴収票も出ず、給与支払報告書も市区町村に提出されていないとしたらどうか?…だって?
仮にそうだとしても住民税や社会保険料、厚生年金を毎月の給与から引かれている場合、還付金がある分確定申告した方が得ですので、源泉徴収票を出してもらって申告しましょう。
なら…源泉徴収されて所得税は払ってるけど、源泉徴収票も出ず、給与支払報告書も市区町村に提出されておらず、住民税と国民健康保険、国民年金を自分で支払っているとしたら…?
…とりあえず源泉徴収されているので国税局に脱税や申告漏れで指摘される事はないかと。
で、仮に給与支払報告書が市区町村に提出されていない事をいいことに、住民税と国民健康保険料を安く抑えるために0円で申告したとしたら…まあ…日本は縦割り社会で…市区町村も…わざわざ…確認…しな…ゴニョゴニョ…
真面目に申告しろ! 納税は国民の義務だ!!
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