2012.04.03 ボロ株の雄、山水電気が倒産で上場廃止へ
昨日山水電気が民事再生法の適応を申請したというニュースが流れました。
近々「ボロ株(クズ株)の特集でも書こうかな」と考えており、数年前までボロ株の代表格だった「イチヤ」がなくなった今、真っ先に取り上げる予定だったのがこの「山水電気」だったのですが、その目論見は脆くも崩れ去ってしまいました。
ではまず山水電気のここ一年の値動きから見てみましょうか↓
う~ん、クソ株。
2011年の7月に瞬間的に5円を付けた以外は概ね1~3円に落ち着いており、そもそもこんなんで会社が成り立っていたのが不思議なくらいです。
ちなみにニュースの概要はこんな感じ↓
名門音響機器メーカーの山水電気が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されたことが帝国データバンクの調査で2日わかった。 負債は2011年12月31日時点で約2億4765万円。
同社は1944年創業で、70年3月に東証、大証それぞれ1部へ上場。84年10月期には年間売上高約525億5200万円を計上するなど、高級アンプ「SANSUI」ブランドは、世界的に高く評価されていた。
その後は、海外企業の傘下に入り経営再建を目指してきたが、昨年、親会社ザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド(香港)も事実上の倒産状態に。資金調達のメドがまったく立っておらず、今期の定時株主総会も延期していた。
かつて500億円以上の売り上げを誇っていた名門も今や過去に販売した機器の修理を手がけるのみになっており、従業員数は5人、去年の売上高は1500万円と、「いくら栄華を誇っていても時代の流れを見誤り乗り遅れればこうなってしまうよ」というのを身を持って体現しているかのようで、ちょっと切なくなります。
不思議なのは今の今まで日本の株式市場の最高峰である「東証1部」に上場し続けていた事で、「なんで従業員5人、売上高数千万円で株価数円の企業が上場廃止にならないんだろう?」と疑問に思っていた方も多いと思います。
これはひとえに上場廃止基準に抵触しなかったからで、上場廃止基準の一つに「時価総額5億円未満」というものがありますが、山水電気の発行済み株式総数は13億株を超えていますので、仮に株価が1円だったとしても時価総額は13億円超となり上場廃止基準には抵触しない。
ちなみに上場廃止日は5月3日付けの予定で、普通ならエルピーダやJALのように上場廃止日に向け値を下げながらもマネーゲームの対象として活発に取引されるのですが、山水電気に関してはハナから株価は1円なのでマネーゲームを行う余地があるのかどうか…
上場廃止後、再建に向けて動くのか消滅するのかは分かりませんが、「もしかしたら再上場するかも…」との思惑で株を買うのはやめましょうね。
こういった1株の値段が極端に安い通称「クズ株」「ボロ株」の企業は色々問題を抱えている場合が多いですが、一株の値が安いが故に1円上がるだけでも大きな利益が出たりするので、こういった株を好んで取引する投資家の方もいらっしゃいます。
株式市場に上場する企業というのは上場基準をクリアした、いわゆる「優等生」が多いのでしょうが、こういった「おちこぼれ」も存在し、しかし株の取引という面ではそのおちこぼれの方がスリリングで面白かったりする懐の深さも株の楽しみの一つと言えます。
株価一桁というのはあまり健全ではありませんが、そういった企業が無くなっていくのは一抹の寂しさを感じますね。
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