岩井コスモ証券の手数料や特徴
IPOに力を入れている中堅証券会社
岩井コスモ証券は大阪に拠点を置き主に関西に展開する中堅証券会社で、それだけに関東以北に住んでいる人であればこの名前を聞いてもいまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか?
店頭業務を主にしている地場証券会社でもあるので「ここで紹介するのは場違いなのでは?」と感じるかもしれませんが、実は手数料やIPOで魅力がある証券会社なのです。
IPOに力を入れている投資家にはもはや定番の証券会社になりつつある岩井コスモ証券。具体的にどういった魅力があるのでしょう?
岩井コスモ証券の手数料体系
岩井コスモ証券は前述のように店頭業務が主な証券会社なのですが、ここでは対面取引や電話取引を除いた純粋なネット取引の手数料のみを見ていきます。岩井コスモ証券には現物取引手数料と信用取引手数料の区別はなく同一のものが採用されます。
まずは1約定ごとの手数料から。
手数料プラン | 約定代金 | 手数料 |
---|---|---|
スタンダードコース (1約定ごとのコース) |
~500万円 | 1,080円 |
~1,000万円 | 1,620円 | |
以降500万円増えるごとに | 540円ずつ加算 | |
2億4,000万円超 | 27,000円(上限) |
たっかいよ!イキナリ500万円以下ってどういうことだよっ!もっと細かく刻んでよ!そもそも2億4,000万ってなんだよっ!ひろみなの!?ひろみGOなのっ!?
…なんかそんな声が聞こえてきそうな手数料体系ですが岩井コスモ証券のホームページに書いてあることそのまま写しただけなの。安くもない…というかむしろ高いし、1単位が500万円とやたら大きいし、しかも2億4,000万だし…ハッキリ言って見るべきものはありません。
…気を取り直して1日定額プランを見てみましょう。
手数料プラン | 約定代金合計額 | 手数料 |
---|---|---|
アクティブコース (1日定額制コース) |
~10万円 | 86円 |
~20万円 | 172円 | |
~30万円 | 259円 | |
~40万円 | 345円 | |
~50万円 | 432円 | |
~60万円 | 518円 | |
~70万円 | 604円 | |
~80万円 | 691円 | |
~90万円 | 777円 | |
~100万円 | 864円 | |
~200万円 | 1,728円 | |
以降100万円増えるごとに | 864円ずつ加算 | |
1億2,400万円超 | 108,000円(上限) |
なんでこっちはこんな無駄に刻んでんだよっ!1約定ごとの手数料との温度差はなんだよっ!そもそも1億2,400万ってなんだよっ!?ひろみGOはもういいのかよっ!みんな一つ目になっちゃった感じなのっ!?サイクロプス!?
…なんかそんな声が聞こえてきそうな1日定額制の手数料。1約定ごとのプランに対しこちらはかなり安めの設定となっており、現物取引の90万円までならネット証券最大手のSBI証券より安いという良心的な手数料体系です。
スタンダードコースでもやれよ…
ちなみに定額制のコースは現物取引と信用取引の区別はなく枠の中で自由に使い分けることができます。
このことから現物取引に関しては1約定ごとは高くて厳しいものの、定額制であればかなり格安なので、少額のデイトレードなども視野に入れている人にとっては検討する価値は十分にあるでしょう。
ただ、信用取引に限ればSBI証券よりも安い約定代金合計額は30万円までで、それ以上になるとSBI証券の方が安くなります。定額料金やたらと高い楽天証券に比べれば遥かに安いのは間違いありません。
信用取引の金利や貸株料
次に、信用取引をした際に営業日毎に支払う必要がある金利や貸株料を見てみます。ちなみにデイトレードでも1日分の金利や貸株料が取られます。
取引区分 | 金利・貸株料率 | |
---|---|---|
買方 | 制度信用取引 | 2.69% |
一般信用取引 | 3.69% | |
売方 | 制度信用取引 | 1.15% |
一般信用取引 | 1.90% |
ネット証券大手のSBI証券や楽天証券を引き合いに出すと、岩井コスモ証券は一般信用取引の買方金利が0.60%くらい高く、ほかはほぼ同じレベルといったところ。
30万円以下の定額コースならかなり安めの手数料ですし、制度信用取引に限れば旨味は十分にあります。ただ、株取引のためだけにわざわざ講座を開いて…というのであればちょっと弱いかな~という印象になるでしょうか。
岩井コスモ証券のトレードツールは?
岩井コスモ証券では高機能なトレードツールが提供されていますが、様々な情報を見ながら取引できるものは岩井コスモトレーダーPROのみとなっています。
それ以外にも自動更新株価ボードやマーケット情報、FLASHチャートなどのツールはあるものの、他社のように豊富な機能を揃えたスマホ・タブレット向けのツールは今のところ存在しません。
多くのデイトレーダーはパソコンの前に座り高機能ツールを使用するでしょうから、万全の板注文機能や豊富な情報を扱える岩井コスモトレーダーPROがあれば事足りる気もしますが、スマホ・タブレット向けはちょっと弱い印象。
もちろんスマホやタブレットからも注文は出せますが、それはスマホ専用に作られたホームページから出せるに過ぎず不便。
また虎の子の岩井コスモトレーダーPROは月額3,240円の有料ツールで、口座開設時などの無料期間を除くと無料適用条件は1ヶ月10,800円以上の手数料を使う必要があり、他の証券会社の高機能ツールに比べても金額、条件共に厳しい。
スマホ用ツールや無料条件は今後の対応を期待したいところです。
岩井コスモ証券のIPO(新規公開株)
ネット取引を行う個人投資家が岩井コスモ証券に口座を開設している一番の理由…おそらくそれはIPO(新規公開株)にあると思っています。
まず岩井コスモ証券のここ10年のIPO取り扱い数を見てみましょう。
2016年 | 2015年 | 2014年 | 2013年 | 2012年 | 2011年 | 2010年 | 2009年 | 2008年 | 2007年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
26 | 41 | 23 | 23 | 1 | 2 | 0 | 0 | 3 | 8 |
近年はかなりの取扱実績があり、ネット証券の中で考えればSBI証券、マネックス証券に次ぐ3番目くらいの数を誇っています。
しかもこれら証券会社より口座数はかなり少ないでしょうし、完全平等抽選のルールを敷いておりますから、当選確率はおのずと高めになってきますし、少ない資金の人でも十分当選が狙えます。
ただ、取扱数が多いとはいえ主幹事を務めることはないため割り当ては少な目で、しかも店頭業務メインの証券会社とあって割り当ての10%しかインターネット抽選に回されません。
そのためネット配分は一桁枚数に留まることも多く、口座数が少ないとはいえ期待値が高いかと言えばそれほどでもない。
それでもIPOは「数打ちゃ当たる」が基本姿勢となりますので、IPO当選を狙っている人は取扱数が多い岩井コスモ証券に口座を開かないという選択肢はないでしょう。
ちなみに岩井コスモ証券のIPO申し込み手順はちょっと特殊で、普通ならBB(ブックビルディング)申し込み後売出価格決定後すぐに抽選されますが、岩井コスモでは売出価格決定後に購入申込期間というものがあり、ここで申し込んではじめて抽選に参加できます。
つまり抽選に参加するにはBB参加と購入申込の2回を行う必要があり、抽選が行われる時期も他の証券会社に比べ数日遅れるという特徴がありますので注意が必要です。
岩井コスモ証券の総評・まとめ
岩井コスモ証券は店頭での業務がメインの中堅証券会社とあってネット証券に比べると痒いところに手が届かない点も見受けられますが、光るものの散見され特にIPOを狙っている人にとっては重要な証券会社になるはず。
特徴を簡単にまとめると…
■定額制コースは現物では相当安く、信用でも30万円以下ならSBI証券より上
■トレードツールはスマホ・タブレット向けがなくやや遅れている印象
■IPOは取扱数が多い一方で口座数が少なく穴場の証券会社
主に現物取引で1日定額の手数料を使っている人であれば岩井コスモ証券はかなり安く、また信用取引と区別もないため、これらを使い分ける投資家にとっても重宝しそう。
ただ、ツールは正直高いですし無料条件の厳しため、1秒を争うデイトレードを行っていないのであれば他の証券会社のツールを見ながら岩井コスモ証券で取引するという方法のほうがいいかもしれません。
IPO当選を狙っている人は必須証券会社の一つとも言えるので、必ず口座を開設しておきましょう。
キャンペーン情報
現在岩井コスモ証券では新たに証券総合口座を開設した方を対象に現物取引手数料を、口座開設した月の翌々月の月末までが対象の最大3ヶ月間全額キャッシュバックするキャンペーンをおこなっています。
信用取引は対象外なのは注意が必要ですが、IPO目的でもなんでもとりあえず口座を開設し、試しに無料期間に取引してみて使い勝手を試すのも悪くないでしょう。
2017年3月31日までのキャンペーンですが、ギリギリに開設しても5月末までの現物取引手数料がキャッシュバックされるので、気になる人はお急ぎください。
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