岡三オンライン証券の特徴や手数料
岡三証券グループのネット証券会社
岡三証券は古参の証券会社でしたが、岡三証券グループからネット取引に特化した証券会社として分離したのが岡三オンライン証券です。2006年頃、私が株式投資を始めた頃には存在せず、比較的新しいネット証券と言えます。
口座数は12万ほどと決して多くはないものの、親会社は東証一部上場の岡三証券グループと信頼性は非常に高く底力も感じさせます。
岡三オンライン証券は具体的にどういった特徴がある証券会社なのでしょうか?
岡三オンライン証券の現物取引手数料体系
手数料プラン | 1注文の約定代金 | 手数料 |
---|---|---|
ワンショット (1約定ごとプラン) |
~10万円 | 99円(106円) |
~20万円 | 200円(216円) | |
~50万円 | 350円(378円) | |
~100万円 | 600円(648円) | |
~150万円 | 1,000円(1,080円) | |
~300万円 | 1,500円(1,620円) | |
以降100万円増加毎に | 300円(324円)ずつ増加 ※3,000円(3,240円)を上限 |
10万円以下の手数料に関してはネット証券最大手のSBI証券や2位の楽天証券の150円に対し岡三オンライン証券は106円と安いものの、それ以外の約定代金ではすべて高くなっています。
次に定額制を見てみましょう。
手数料プラン | 1日の約定代金合計額 | 手数料 |
---|---|---|
定額プラン | ~10万円 | 99円(106円) |
~20万円 | 200円(216円) | |
~30万円 | 350円(378円) | |
~50万円 | 500円(540円) | |
~100万円 | 800円(864円) | |
以降100万円増加毎に | 500円(540円)ずつ増加 |
こちらも20万円以下ならSBI証券や楽天証券に匹敵する手数料ながら、それ以上は50~100円くらい高くなる感じでしょうか。
こう見てみると確かに安い部類に入り、額の少ない現物手数料はかつてSBI証券と最安値を争っていた楽天証券と遜色ないほどなのですが、 岡三オンライン証券が出始めた頃は業界最安値のライブスター証券(旧アイディーオー証券)と最安値を争っていた時期があり、その頃に比べると若干手数料が高くなってしまったのは残念と言わざるを得ません。
現物手数料だけで見れば、20万円以下であれば他証券とも勝負になるが、それ以上だと岡三オンライン証券を使うメリットが無くなってしまいます。
岡三オンライン証券の信用取引手数料体系
現物手数料に続いて信用取引の手数料も見てみましょう。
手数料プラン | 1注文の約定代金 | 手数料 |
---|---|---|
ワンショット (1約定ごとプラン) |
~10万円 | 99円(106円) |
~20万円 | 150円(162円) | |
~50万円 | 300円(324円) | |
~100万円 | 500円(540円) | |
~150万円 | 700円(756円) | |
~300万円 | 1,000円(1,080円) | |
300万円超 | 1,200円(1,296円) |
ん~…SBI証券と比較すると10万円までは岡三オンライン証券のほうが安く20万円になるとほぼトントン、それ以上はSBI証券が安い一方で、信用手数料が約定代金に関わらず388円で固定の楽天証券に比べると50万円以下までは岡三の方が安くなります。
次に定額制。
手数料プラン | 1日の約定代金合計額 | 手数料 |
---|---|---|
定額プラン | ~10万円 | 99円(106円) |
~20万円 | 200円(216円) | |
~30万円 | 300円(324円) | |
~50万円 | 500円(540円) | |
~100万円 | 700円(756円) | |
~200万円 | 1,000円(1,080円) | |
以降100万円増加毎に | 300円(324円)ずつ増加 |
信用取引定額制は全体的にSBI証券より若干高いもの、100万円を超えてからの手数料の増加幅が300円(税込324円)とSBIの400円(税込432円)より安いため、400万円を超えると逆転し以降は岡三オンライン証券の方がどんどん安くなっていきます。
ちなみに業界2位の楽天証券は信用取引の定額制がやたらと高いので、それに比べると岡三オンライン証券のほうが遥かに安くなっています。
大手ネット証券に比べ信用取引の定額制に光るものがある…という結論になります。
信用取引の金利と貸株料
信用取引の定額制に妙味があることが見て取れたところで、信用取引のコストとして忘れてはならない買方の金利と売方の貸株料を知っておきましょう。
取引区分 | 金利・貸株料率 | |
---|---|---|
金利・貸株料(年率) | 買方金利 | 2.60% |
売方貸株料 | 2.00% |
ネット証券大手の制度信用取引の金利は2.80%、貸株料は1.15%くらいがスタンダードなので、買方の金利に関しては岡三オンライン証券の方が優れている一方、売方の貸株料は明らかに劣っていることが見て取れます。
貸株料の1.15%と2.00%の差がどの程度かというと、約定代金が100万円であれば1.15%が1日31円なのに対し2.00%は54円という計算になります。
定額手数料の安さを考えればあまり気にならないレベルかもしれませんが、ある程度まとまった期間保有するとなると馬鹿にならない差になってきますので、可能な限りデイトレードやスイングトレードに徹するのが良さそうです。
ちなみに岡三オンライン証券には一般信用取引の取り扱いはありません。
屈指のトレーディングツールは最大の魅力
これまでやや微妙な感じで紹介してきた岡三オンライン証券ですが、トレーディングツールはネット証券の中でも屈指の出来で、株の大手SNSサイト「みんなの株式」の中のツール部門でで1位を獲得しています。
中でも岡三ネットトレーダーシリーズは非常に評判がよく、PCからスマホ、タブレットに至るまできめ細かい情報と使い勝手の良さを提供してくれます。
他社のツールでは扱っていないようなデイトレード向けの5分株価急騰ランキングや出来高急騰ランキングなど情報量が凄まじく、チャートを用いたテクニカル分析結果のランキングも充実しています。
テクニカル分析の多彩さはもちろん企業の決算発表や優待といったファンダメンタルズの情報など一般的なトレードツールでは扱わない情報まで網羅し、「そこまで必要か?」と感じさせるほど。
トレードツールといえば楽天証券のマーケットスピードやSBI証券のHYPER SBIが有名ですが、岡三オンライン証券のツールの中でも最上位に当たる「岡三ネットトレーダープレミアム」は頭一つ抜け出した感すらあります。
信用取引の定額制手数料が安さもツールとデイトレードの相性を良くする要因と言えるでしょう。
■岡三ネットトレーダープレミアムの無料使用条件
パソコンに向けた高機能ツール岡三ネットトレーダープレミアムは35日間で980円の有料ツールとなっているものの、無料で使用できる条件があります。
その条件とは1ヶ月間の手数料実績が税抜き980円以上であることで、岡三ネットトレーダーを使うような状況下にある人は意識しなくてもほぼ間違いなくクリアできるようなものになっています。
他の証券会社の有料ツールの無料条件にありがちな「○○万円以上の資産」というものはなく、単純に1ヶ月間で支払った手数料のみが条件となっていますので注意してください。
ちなみにスマホやタブレットに向けた岡三ネットトレーダーは完全無料になっていますで主に外で使う人は一安心。
岡三オンライン証券のIPO取り扱いは?
岡三オンライン証券のIPO(新規公開株)取り扱いは2013年からのスタートになっていますので実績面では弱いと言わざるを得ません。
2016年 | 2015年 | 2014年 | 2013年 | 2012年 | 2011年 | 2010年 | 2009年 | 2008年 | 2007年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6 | 10 | 10 | 1 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
取り扱いを始めてからあまり期間が経っていないため見てのとおり案件自体の数は少ないのですが、考えようによっては注目度が低くライバルが少ないことを意味します。
抽選方法はマネックス証券などと同様に完全平等抽選を採用しており、しかも口座数は13万に届かない程度と大手の10分の1以下なので、取り扱いがあれば当選の可能性は比較的高くなる傾向にあります。
また、岡三オンライン証券はIPO抽選の時点で資金を入れておく必要はなく、当選を確認してから資金を入金すればいいという優しい設定。ただ抽選日から翌日15時までしか時間的猶予がない点は注意が必要。
とりあえず口座を持っておけば入金しなくても抽選に参加でき、抽選がある日にしっかりとチェックすれば「当選したけど入金が間に合わなくて買えなかった」なんてことも避けられます。
大手証券グループの傘下でありIPOの取り扱いを始めてまだ日が浅いため、もしかしたら今後化ける可能性もありますし、IPOに積極的に参加している私は当然口座を持っています。
…もちろん残高は0円ですが…
岡三オンライン証券の総評・まとめ
ネット証券としてはマイナーな部類に入る岡三オンライン証券ですが、詳しく見ていくと魅力も存在していることが見て取れると思います。
岡三オンライン証券についてまとめると…
■信用取引の1日定額は良心的で、400万円を超えるとSBI証券より安くなる
■一般信用取引の取り扱いはない
■トレードツールの岡三ネットトレーダーは素晴らしい出来
■IPOは完全平等抽選 取り扱いは少ないが口座数も少ないため穴場
信用取引の定額制手数料に光るものがあるので、優秀な岡三ネットトレーダーと相まって本格的にデイトレードをおこなっている人は一考の価値があります。
もっと手数料を抑えたいという人はトレードツールとして高機能な岡三ネットトレーダーを使用しつつ注文はライブスター証券やGMOクリック証券で出すという外道もあり。かつては楽天証券のマーケットスピードでよく用いられていた方法ですが、今は岡三ネットトレーダーの方が使いやすいと感じる人も多いはず。
IPOは取り扱いこそ少ないものの口座数も少ないため穴場と見ることもでき、しかも抽選に資金が必要ないのだから、とりあえず口座を持っておいて損はありません。
使い方は限られるがハマれば面白い証券会社。そんな印象になるでしょうか。
あわせて読みたい関連記事
信用取引は現物取引に比べ圧倒的に安い手数料が魅力のひとつです。しかし毎日金利や貸株料がかかるというデメリットもあり、「何日くらい保有すると現物より高くつくんだろう?」と考えたことはありませんか?その疑問に応えるべくいくつかのパターンで計算してみました…続きを読む
いざ投資をはじめようとした時「株にするかFXにするか」で迷う人は多いと思います。FXと株式投資どちらが儲かるかは人によって、もしくは投資法によって変わりますが、これらの特徴やメリットデメリットを詳しく解説しますので今後の投資に活かしてください…続きを読む
株価というのは良い材料が出れば上がり、悪い材料が出れば下がるとされています。しかし実際は全体の地合いやトレンドがものをいい、どんなに業績が良くても地合いが悪かったりトレンドが下降気味だったら株価は下がり、逆に業績が悪くても地合いが良ければ株価が上がる…続きを読む
株主優待をリスクなく貰う方法としていわゆる「優待タダ取り」というものがあります。厳密には手数料や貸株料がかかるためタダにはならないものの、銘柄を選べばかなりお得になります。しかし色々と注意点やデメリットもありますので損をしないための具体的な説明をしていきます…続きを読む
信用取引の場合2013年1月から差金決済が解禁され同一資金でいくらでも取引できるようになりましたが、現物取引の場合は差金決済が禁止されており同日中の同一資金による同一銘柄の取引は1往復までしか行えません。分かりやすく詳しい仕組みを見てみましょう…続きを読む
委託証拠金が不足し追証が発生しつつも、それを無視し期限を過ぎてしまったらどうなるのか?私自身が経験した追証から建玉を損切りしたものの結局信用取引を停止され、その後信用取引口座継続の意思確認を経て信用口座が復活した経緯を書きます…続きを読む
割安感を測る指標としてPER(株価収益率)は投資判断でよく用いられ、一般的に数字が低ければ「割安」とされますが、“マイナス”のPERはどうなのでしょうか?これは前期や今期予想などが赤字の場合に見られ、指標として意味を成しませんがV字回復への期待を込めて買うという方法も…続きを読む
株式投資とギャンブルの違いは胴元がいるかどうかもそうですが、やった後に何も残らないギャンブルと違い投資を始めると経済に敏感になり、結果経済の勉強になりますし、世界の人々が集う市場に参加するというのは閉鎖的なギャンブルの世界とは全く別物です…続きを読む