松井証券の特徴や手数料
堅実・誠実さが売りの老舗証券会社
松井証券はもうすぐ創業100年を数える老舗の証券会社で、あまり株式投資に興味の無い方でも名前くらい聞いた事ある人も多いのではないでしょうか。
口座数は約100万とカブドットコム証券と4位を争っており、主要ネット証券に数えられる大手証券会社。東証1部上場という面でも信頼性は抜群と言えます。
それだけに様々な強みもありますので、手数料からIPO、トレードツールなどに至るまで詳しく見ていきたいと思います。
松井証券の手数料「ボックスレート」
松井証券の手数料体系は他の証券会社とは異なり、いわゆる「1約定ごとのプラン」というものがありません。
それどころか現物取引と信用取引との区別もなく、すべての取引共通で1日の約定代金合計によって手数料が決まる「ボックスレート」が適用されます。他の証券会社でいう1日定額プランと思ってもらえれば間違いありません。
詳しい料金は以下のようになっています。
手数料プラン | 1日の約定代金合計額 | 手数料 |
---|---|---|
ボックスレート | ~10万円 | 0円(0円) |
~30万円 | 300円(324円) | |
~50万円 | 500円(540円) | |
~100万円 | 1,000円(1,080円) | |
~200万円 | 2,000円(2,160円) | |
以降100万円増加毎に | 1,000円(1,080円)加算 | |
1億円超 | 100,000円(108,000円) |
10万円まで無料というのは非常に魅力的で、しかも信用取引口座を開設した場合30万円までの手数料も6ヶ月間無料になります。
上でも書いたように現物・信用に関わらずなので、資金以上の取引を行わず現物の差金決済禁止ルールに抵触しないのであれば、金利がかからず他証券では割高な手数料になる現物取引の方がお得という考え方もできるでしょう。
10万円まで無料や信用取引口座開設後の30万円までの無料期間をできる限り上手に利用したいところ。
手数料完全無料の一日信用取引
一日信用取引とは返済期限が当日のデイトレードに特化した信用取引で、ボックスレートの取引とは別枠の専用取引になります。
ビックリするのはその手数料や金利・貸株料体系。
手数料(デイトレード時) | 約定代金に関わらず0円 | |
---|---|---|
金利・貸株料 (デイトレード時) |
1注文あたりの約定代金300万円以上 | 年利0% |
1注文あたりの約定代金300万円未満 | 年利2.0% |
信用取引のデイトレードに限定すれば約定代金に関わらず手数料は0円となり、しかも1約定の代金が300万円を超えたら金利や貸株料まで0円になるという仕様で、業界最安値の手数料体系を敷くライブスター証券ですら霞みます。
これは返済期限が当日の専用取引であるため、「ボックスレートで取引したけど結果的にデイトレードになった」という場合には適用されませんが、始めからデイトレードを目的としている場合こんな魅力的なプランはありません。
ただ、1つだけ注意点があります。
取引時間中に自身でしっかりと往復の売買を成立させている分には最高のプランですが、仮に建玉の決済を行わないまま取引時間を終えてしまうと強制決済となる上に約定代金の0.3%の手数料が課されてしまいます。
0.3%って仮に100万円の取引を例に取ると3,000円の手数料と結構な額になってしまいますので、どんなに含み損が膨らんでも絶対に絶対に当日中に建玉の決済を行うようにして下さい。持ち越しても次の営業日に寄成で強制決済されるんだし。
当日中に決済をしっかり行えばこれほど魅力的な取引もないので、デイトレードメインの人はぜひ活用するようにして下さい。
松井証券のトレードツールは?
松井証券はいくつものトレードツールを扱っていますが、メインになるのは高機能トレーディングツールである「ネットストック・ハイスピード」、WEBブラウザ上で使用できる「ネットストック・スマート」、そしてスマホ向けの「株touch」の3つになるでしょう。
これら3つのツールではすべて松井証券最大の魅力である一日信用取引に対応しています。しかし一日信用取引のメリットを最大限活かし少しでも勝率を高めることを考えるのであればやはり高機能ツールであるネットストック・ハイスピードを使うべき。
より多くの情報を表示でき、かつ事前に注文条件を設定しておけば最短ワンクリックで発注できるスピード注文は一日信用取引との相性は抜群。他の証券会社のツールに比べ画面があか抜けない感はあるものの、機能的には十二分なものを備えています。
出先などでも株touchで一日信用取引の注文は出せますが、決済のし忘れだけは注意してください。
松井証券のIPO取り扱い
松井証券ではIPO(新規公開株)の取り扱いをしていますが、委託幹事(裏幹事)が多く、一般的な幹事と違い事前に知ることができず、通常のBB(ブックビルディング)期間より後になってひょっこり募集をかけたりします。
一応ここ10年の松井証券のIPO取り扱い数を見てみると…
2016年 | 2015年 | 2014年 | 2013年 | 2012年 | 2011年 | 2010年 | 2009年 | 2008年 | 2007年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 16 | 5 | 2 | 11 | 14 | 7 | 8 | 25 | 23 |
数自体は決して多くはなく、しかも通常の幹事は少ないため松井証券がIPOの委託幹事になっていないかホームページやIPOサイトを頻繁にチェックする必要があります。
ただ、割り当てさえあればネットへの配分は100%で、その内70%以上が完全平等抽選に回されるなど条件は良く、取り扱いの多くで幹事に名を連ねない分ライバルも少ないため比較的当選しやすい証券会社ともいえます。
IPOに力を入れている人であれば口座を持つ価値は十分あるでしょう。
松井証券の総評・まとめ
最後に松井証券の特徴をまとめます。
■1日の約定代金合計が10万円以下なら手数料は無料
■信用取引口座を開設すれば30万円以下の手数料も6ヶ月間無料
■一日信用取引は手数料が完全無料で1約定代金が300万円以上なら金利も0%
■IPOは裏幹事が多いものの70%以上が完全平等抽選と狙い目
松井証券は他の証券会社とは大きく違う手数料体系が特徴で、これを上手に利用することができればかなりの有利になります。
中でも一日信用取引は手数料完全無料、1約定の代金が300万円以上で金利や貸株料も0%になるなど、手数料最安レベルのライブスター証券やGMOクリック証券も真っ青な超良心的仕様。
持ち越しを考えず100%デイトレードに徹することができるのであれば絶対に利用すべきシステムと断言できます。
当然ながら口座開設、維持費は無料ですし、口座があれば思わぬIPOに出会えたりもするので、取引の有無はさておいてもとりあえず口座は持っておくべき証券会社です。
あわせて読みたい関連記事
信用取引は現物取引に比べ圧倒的に安い手数料が魅力のひとつです。しかし毎日金利や貸株料がかかるというデメリットもあり、「何日くらい保有すると現物より高くつくんだろう?」と考えたことはありませんか?その疑問に応えるべくいくつかのパターンで計算してみました…続きを読む
いざ投資をはじめようとした時「株にするかFXにするか」で迷う人は多いと思います。FXと株式投資どちらが儲かるかは人によって、もしくは投資法によって変わりますが、これらの特徴やメリットデメリットを詳しく解説しますので今後の投資に活かしてください…続きを読む
株価というのは良い材料が出れば上がり、悪い材料が出れば下がるとされています。しかし実際は全体の地合いやトレンドがものをいい、どんなに業績が良くても地合いが悪かったりトレンドが下降気味だったら株価は下がり、逆に業績が悪くても地合いが良ければ株価が上がる…続きを読む
株主優待をリスクなく貰う方法としていわゆる「優待タダ取り」というものがあります。厳密には手数料や貸株料がかかるためタダにはならないものの、銘柄を選べばかなりお得になります。しかし色々と注意点やデメリットもありますので損をしないための具体的な説明をしていきます…続きを読む
信用取引の場合2013年1月から差金決済が解禁され同一資金でいくらでも取引できるようになりましたが、現物取引の場合は差金決済が禁止されており同日中の同一資金による同一銘柄の取引は1往復までしか行えません。分かりやすく詳しい仕組みを見てみましょう…続きを読む
委託証拠金が不足し追証が発生しつつも、それを無視し期限を過ぎてしまったらどうなるのか?私自身が経験した追証から建玉を損切りしたものの結局信用取引を停止され、その後信用取引口座継続の意思確認を経て信用口座が復活した経緯を書きます…続きを読む
割安感を測る指標としてPER(株価収益率)は投資判断でよく用いられ、一般的に数字が低ければ「割安」とされますが、“マイナス”のPERはどうなのでしょうか?これは前期や今期予想などが赤字の場合に見られ、指標として意味を成しませんがV字回復への期待を込めて買うという方法も…続きを読む
株式投資とギャンブルの違いは胴元がいるかどうかもそうですが、やった後に何も残らないギャンブルと違い投資を始めると経済に敏感になり、結果経済の勉強になりますし、世界の人々が集う市場に参加するというのは閉鎖的なギャンブルの世界とは全く別物です…続きを読む