現物のデイトレードは差金決済に注意

あれ?余力が回復していない…

デイトレードは個人投資家…とりわけ比較的若いトレーダーに人気の投資法で、これで一獲千金を狙ってやろうと考えている人も多いと思われ、多くの場合短期売買は信用取引で行うと思いますが、何らかの理由により現物取引で行う場合「差金取引」に注意が必要です。

かつて信用取引ではその日の買付余力を使い果たしてしまったら翌日にならないと余力が回復しませんでしたが、2013年1月の制度改正で建玉返済後すぐに余力が回復…つまり委託保証金が無くならない限り1日に何度でも取引ができるようになりました。

しかし現物取引ではルールが異なり、状況によっては「余力が無くなってる…」という事態が起こり、その原因がここで取り上げる「差金決済」になります。

現物でデイトレードを行う機会がある人はぜひ覚えておいて下さいね。

差金決済とは

現物取引で適用される「差金決済禁止のルール」とは、その日に売買した銘柄を同日中に再び売買する場合、先の売買で使用した資金は使用できないというルールです。

分かりやすく証券会社に100万円入っていたとして、Aという1株100円の銘柄を10,000株売買したとしましょう。手数料は考慮しません。

100円の株10,000株…つまり100万円で買ったとして、その日に101円で売却すれば1万円の利益が生まれ余力は即座に101万円に増えることでしょう。

この中で「差金」にあたるのは利益の1万円で、これのみの決済となれば100万円はすぐにでも使えることになるのですが、証券取引法では差金のみの決済は禁じられており、Aという銘柄を同じ資金でその日のうちに取引することはできないのです。

ややこしいのはAという銘柄を1往復(売り買い)した場合、同日中に同じ資金で再びAを売買することはできないものの、それ以外の銘柄であれば問題ないという点。

「なんじゃそりゃ?」ですよね。

現物取引の場合総額の受け渡しが原則であり、株や現金は注文が約定してから4営業日目に行われるため、同じ日に同じ資金で同じ銘柄を何度も売買するということは受渡日に差金決済しなければならないことになり禁止されている…ということ。

ちょっとややこしいですよね。

差金決済に当たる取引と当たらない取引

先ほどと同様に資金100万円でAという1株100円の銘柄を10,000株買い、同日中に101円で売ったと仮定し、そこからできる取引とできない取引というのは…

■A銘柄を101万円で買い→ ×

■B銘柄を101万円で買い→ 

■C銘柄を101万円で買い、102万円で売り→ 
■同日中に再びC銘柄の売買→ ×

要は同一資金で同じ銘柄を売買するのは1往復までということになりますが、もし買付余力が200万円あった場合は事情が異なり、上と同条件で見てみると…

■A銘柄を100万円で買い→ A銘柄を101万円で売り→ 
■A銘柄を101万円で買い→ ×(余力が1万円足りない)

はじめの取引でA銘柄を100万円で売買した場合、残りの100万円でA銘柄の売買を行うことができますが、100万円の取引を2往復すると余力を使い果たすことになり同日中の取引は行えなくなるのです。

信用取引ならOKなんだから現物取引でもOKにしてくれよと言いたい。

受け渡しは4営業日後だが取引は翌日から可能

先ほど「株や現金の受け渡しは約定日から4営業日目」と書きましたが、「じゃあ4営業日目にならないと同じ銘柄を売買できないの?」といえばそういうわけではありません。

差金決済禁止のルールというのは決済日(受渡日)が同じ日に限り、翌日の売買では決済日が異なるため差金決済には当たらないのです。

だからややこしいって。

損切りルールを厳密に決めその日のうちに確実に決済するデイトレードやスキャルピングであれば手数料が安く差金決済がOKな信用取引で行うべきですが、状況に応じてデイやスイング、中長期を使い分ける人は現物でデイトレードを行う場合もあると思います。

そういった場合は差金決済禁止のルールで「売買できね~」とならないよう注意してください。

最後にまとめますと…

■現物取引の場合同日中に同一資金で同一銘柄を売買できるのは1往復まで
■同一資金でも別の銘柄であればOK
■受渡日(決済日)は4営業日目だが売買は翌日から可能

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