ローソク足と組み合わせるテクニカル分析
ここまで4ページにわたってローソク足を用いた株価予想について書いてきましたがいかがだったでしょうか?
これまで紹介したローソク足の分析は基本に過ぎず、それらを応用した様々な分析法があります。書籍などもたくさん出版され、個々の専門家の方々が独自の分析などを紹介しています。
これだけ活発に行われているローソク足分析ですからそれなりに信用に足るものですが、ローソク足の分析単独では限界があるというのが実情。
特に近年は投資にAIが用いられることが多くなり、ローソク足など人間の心理が多大に影響する分析法が通用しなくなっている側面も。
一度証券会社のサイトなどで様々な銘柄のチャートを眺めてみてください。ローソク足単独で見るとここまでのページで挙げてきたセオリーがあまりあてにならないことに気が付くと思います。
ゆえに、可能であれば他のテクニカル分析と併用する事をおすすめします。
数多くの投資家の方が使っている短期移動平均線と長期移動平均線を用いたもの、一目均衡表やMACDなどでもいいでしょう。ローソク足分析は他のテクニカル分析と併用することによってその精度を高めるのです。
もちろん他の分析を用いても予想が外れることは日常茶飯事。「相場に絶対はない」とよく言われるように、どんな優れた分析を用いても往々にして相場は裏切るものなのです。
分析とは「勝つ確率を1%でも上げる」行為であって、常に勝ち続けることは不可能。その確率を少しでも高めるためにローソク足分析以外にも得意なテクニカル分析をいくつか身に付けておきましょう。
ローソク足と相性の良い分析は?
テクニカル分析自体は非常の多く存在するものの、あまりに多くの分析を併用してしまうとそれぞれで分析結果が違ってしまい、かえって方向性を見失ってしまう可能性があります。
そういった点を踏まえローソク足を用いた分析に合う他の分析を考えると…
ローソク足自体の形や複数の組み合わせから相場の強弱や傾向・方向性を読み取るという非常にシンプルなもの。このシンプルさ、手軽さを最大限に活かすためにも王道かつ視覚的にも分かりやすい分析を組み合わせるべきでしょう。
移動平均線
ローソク足と最も親和性が高いのはやはり移動平均線を用いたテクニカル分析。
お互いに邪魔することなく、かつひと目でどちらの相場予想も確認できること、直感的でわかりやすい点など、ローソク足による予測とこれほど相性が良いものは存在しないでしょう。
また、移動平均線によるテクニカル分析は単純かつ奥が深いことから世界で最も使用されている分析法。同じく多くの人が取り入れているローソク足の分析と相まって市場心理を読むという点でも非常に優れています。
一口に移動平均線の分析といっても13週や26週の線を用いるものから、25日や75日の線を用いるものまで様々。最も普遍的なものは5日、25日、75日、200日あたりの移動平均線を使うものなので、迷ったらこれがおすすめ。
一目均衡表
移動平均線ほどではないが多くの投資家から愛用されているのが一目均衡表。もちろんローソク足との相性も抜群です。
基準線、転換線、遅行スパン、先行スパン1、先行スパン2の5本線からなる分析法ながら、多くの人が目安にし、また注視しているのは先行スパン1と先行スパン2に挟まれた「雲」。
ローソク足のヒゲを含め雲の攻防は市場心理に大きく影響してくる要素であるため、雲に接近する場面においては一目均衡表を意識するべき。
雲以外は…とりあえず後回しでいいかな。
トレンドライン
チャートの値動きの下値や上値を結ぶ線を引くトレンドラインも移動平均線同様ローソク足と相性が良いといえるでしょう。…というか、トレンドラインは基本的にローソク足のチャートで運用するものですしね。
トレンドラインを引く際にヒゲを含めるかどうか迷う場面は多々あるものの、一度線を引いてしまえば下値支持線や上値抵抗線がひと目で分かり、株価がその水準に達した際のローソク足の形により精度が高い予想が可能になるでしょう。
これらは単純であるがゆえに昔から世界中の多くの投資家に愛用されており、だからこそこれら分析による動きが意識され結果信頼性を高めています。
初心者の方にも分かりやすいですし、熟練した投資家の方が求める信頼性という面でも他の分析に遅れをとるものではなく、ここに「買われすぎ」「売られすぎ」を判断する騰落レシオやRCI、RSIあたりを組み合わせればより良いと私は考えます。
ローソク足による相場分析のまとめ
その日の始値・終値・高値・安値の4本値がひと目で分かるローソク足は株価チャートにおいて欠かせず、相場予想においても力を発揮します。
チャートを用いたテクニカル分析において重要なもののひとつに「より多くの人が参考にしている」という点が挙げられます。
多くの人が使用しているということは、多くの投資家がその分析通りの結果を意識し売買を行うことを意味します。それは“市場心理”を作り出し分析に沿った結果に収束する力を生み出すのです。
ローソク足を用いた相場の分析は多くの投資家が取り入れているだけに市場心理に作用しやすいと言えます。より多くの人が利用する移動平均線や一目均衡表を併用すれば、より信頼線が高まるでしょう。
本来であればローソク足というのは値動きの事実を端的に表している記号に過ぎません。しかしそこに一定の法則性が見いだされ多くの人が意識するようになったことで命が吹きこまれた印象か。
前述のようにAIによる高速取引が幅を利かせてきた現代の投資においてローソク足による分析の信頼性は落ちつつあります。それでも要所要所では高い精度を発揮し、また他の分析結果を後押しする役目も。
株価の分析法というのは様々あれど、結局は単純かつ分かりやすいものが重宝されている現実があります。ローソク足の相場予測もそんな分析法のひとつであるため、株式投資を行う際は基本的な形だけでも頭に入れておきましょう。
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