現物に対し信用取引が損になる期間

手数料ではお得な信用取引

株の信用取引は便物取引より手数料が安いのが大きなメリットであるものの、毎日金利や貸株料がかかります。これら金利と手数料を含めた場合、現物取引に対して何日ならお得になるのか気になりませんか?

デイトレードに徹するのであれば格安な手数料と1日分の金利で済みますので諸経費は信用取引の方が圧倒的に安くなりますが、何週間と保有する場面では「現物取引にしておけば良かった…」と感じることもざらです。

そんな疑問に応えるべく、いくつかのパターンで計算してみたいと思います。

私自身デイからスイング、中長期投資まで幅広く行いますが、こういったことをあまり深く考えたことがなかったので、ちょっと楽しみでもあります。

比較対象、サンプルについて

これらの計算は証券会社や取引額によっても異なってきますので、これを検証するにあたりもっとも多く使われているSBI証券、そして業界最安値クラスの手数料を誇るライブスター証券とGMOクリック証券で比較してみたいと思います。

比較するのは現物取引と制度信用取引で、一般的な個人投資家がよく利用するであろう50万円、100万円、300万円、1,000万円で見てみたいと思います。

現実には100万円で買っても売却時には100万円を超え手数料が変わってくることもままありますが、ここではあくまでも往復共に同額として計算。

また、現物との比較であるため「買い」のみとします。

取引額100万円で考えた場合

まずは極めて一般的な額になりそうな100万円の取引額で考えてみましょう。

まず証券会社3社の制度信用取引で100万円取引した際にかかる1日の金利は…

証券会社 年率 1日の金利
SBI証券 2.8% 76円
ライブスター証券 2.3% 63円
GMOクリック証券 2.1% 57円
※金利は365日で計算(2017年1月現在)  

これをもとに証券会社3社の現物、信用の往復手数料とその差額、そして金利をあてはめた場合に現物取引の手数料を超えてしまう日数はというと…

証券会社 現物往復手数料 信用往復手数料 差額 超える日数
SBI証券 1,050円(525円) 776円(388円) 274円 4日
ライブスター証券 734円(367円) 172円(86円) 562円 9日
GMOクリック証券 940円(470円) 200円(100円) 740円 13日
※すべて税込み ※()は片道(2017年1月現在)  

…証券会社によって思いのほか差が開いたな…

取引額50万円で考えた場合

では同じ要領で50万円を見てみます。まずは1日当たりの金利から。

証券会社 年率 1日の金利
SBI証券 2.8% 38円
ライブスター証券 2.3% 31円
GMOクリック証券 2.1% 28円
※金利は365日で計算(2017年1月現在)  

100万円の時と同じく証券会社3社の現物、信用の往復手数料とその差額、そして金利をあてはめた場合に現物取引の手数料を超えてしまう日数は…

証券会社 現物往復手数料 信用往復手数料 差額 超える日数
SBI証券 586円(293円) 412円(206円) 174円 5日
ライブスター証券 388円(194円) 172円(86円) 216円 7日
GMOクリック証券 520円(260円) 200円(100円) 320円 12日
※すべて税込み ※()は片道(2017年1月現在)  

全体的な傾向としては変わらず、SBI証券が5営業日保有で現物の手数料を超えてしまうのに対し、GMOクリック証券は12営業日と余裕があることが分かります。

取引額300万円で考えた場合

次に300万円で見てみます。(ちょっとめんどくさくなってきた)

証券会社 年率 1日の金利
SBI証券 2.8% 230円
ライブスター証券 2.3% 189円
GMOクリック証券 2.1% 172円
※金利は365日で計算(2017年1月現在)  

同様に3社の現物、信用の往復手数料とその差額、そして金利をあてはめた場合に現物取引の手数料を超えてしまう日数は…

証券会社 現物往復手数料 信用往復手数料 差額 超える日数
SBI証券 1,988円(994円) 776円(388円) 1,212円 6日
ライブスター証券 1,296円(648円) 172円(86円) 1,124円 6日
GMOクリック証券 1,800円(900円) 200円(100円) 1,600円 10日
※すべて税込み ※()は片道(2017年1月現在)  

取引額が300万円になるとどの証券会社も現物手数料が妙に高く感じ、信用手数料の安さが際立ってくるものの、1日にかかる金利も大きくなるため、現物取引の手数料に対し信用取引の金利+手数料が上回ってしまう日数はSBI証券以外は取引額が少ない場合より短くなる結果に。

取引額1,000万円で考えた場合

最後に、私のような一般人にはちょっと考えられない1取引1,000万円。

証券会社 年率 1日の金利
SBI証券 2.8% 767円
ライブスター証券 2.3% 630円
GMOクリック証券 2.1% 575円
※金利は365日で計算(2017年1月現在)  

なかなかシャレにならない金利になってまいりました。

これを手数料と比較してみると…

証券会社 現物往復手数料 信用往復手数料 差額 超える日数
SBI証券 1,988円(994円) 776円(388円) 1,212円 2日
ライブスター証券 1,728円(864円) 0円(0円) 1,728円 3日
GMOクリック証券 1,800円(900円) 0円(0円) 1,800円 4日
※すべて税込み ※()は片道(2017年1月現在)  

この段階まで来ると現物取引も信用取引も300万円の時の手数料とさほど変わらず、ライブスター証券やGMOクリック証券に至っては信用取引手数料が0円になります。

ただ、見てのとおり高い金利によってあっという間に現物手数料を超えてしまうことが見て取れ、これまで信用取引で良い成績を残してきたGMOクリック証券ですら4日で現物手数料を上回ってしまう計算に。

現物取引では取引額が上がるに従って手数料も上がるのに、一方の信用取引の手数料はほとんど変わらず、むしろ0円とかになる理由は金利で十分な利益が出せるからなのです。

デイトレードでないなら現物が無難か

信用取引手数料+金利に対し現物手数料が安くなる期間について書いてきましたが、いかがだったでしょうか。

ここから分かったことは基本的に信用取引は短期の取引のみに使うべきという当たり前のことですが、具体的な日数が見れたことで得たものもあるのではないかと存じます。(手間かかってるから役に立たんと割に合わん)

信用取引を使うのは長くても1週間以内に決済すると決めている取引に限るべきで、仮に含み損が出た場合漬けておくことも想定しているなら現物取引にしておいた方が無難でしょう。

取引額が大きくなればなるほど金利を含めた信用取引の諸経費は短期間で現物手数料を超えてしまうため、500万円を超える信用取引ならデイトレードに徹するべき。

それにしても…これを書いていて感じたのは、かつて業界最安値レベルだったSBI証券の手数料が今や全然安くないという点。

現物取引のみならライブスター証券が最も安く、信用取引なら手数料でライブスター証券が若干有利、金利ならGMOクリック証券という選択肢になるでしょう。

投資において手数料や金利は勝敗を決める大きな要因でもありますので、もしこれらの証券会社を利用していないのであれば口座開設をご一考下さい。


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