水ビジネス参入で儲かるのか?
前ページに引き続き、水ビジネスのフランチャイズについて書いていきます。
飲食店やコンビニなどといったフランチャイズでは、研修などを受けてフランチャイズのルールやその業種のノウハウを勉強し、店舗は…自分で用意する場合と用意してもらう場合がありますが、スタッフは自分で募集し教育する事になります。
そして契約者もしくは場合によってその配偶者や家族を含め、その業種に専属で従事する必要がありますが、では水ビジネスではどうでしょうか?
前のページで「知り合いの新聞店が水宅配ビジネスを始めようとしている」と書きましたが、水ビジネスとは別の事業を展開している企業などが、新たな収入源として水ビジネスに乗り出す場合が多く、まったくのゼロから始める人は少ない。
「別の事業」といってもある程度傾向は決まっており、大半は地域密着型の事業を展開している企業で、上記のような新聞店もそうですし、地域でプロパンガスなどを扱っているガス会社や電力会社、介護事業者などです。
というのも、こういった業者は元々が戸別に宅配や集金、営業などをしており、「ついで」といっては聞こえは悪いですが、既存の従業員に本業と併せて営業や配送をさせる事により、新たに営業や集金スタッフ、配送員などを雇う必要もないですし、多くの世帯と顔見知りですから、初めから販路もある程度見込めます。
そんなアドバンテージがあれば水ビジネスも順調に行きそうなものですが、実際にはそう上手く事は運ばないようで、それなりに順調でも利益が出るまでにはそれなりの期間を要したり、結局上手く行かず撤退するなんて話もよく聞きます。
東日本大震災で引き起こされた原発事故により関東の水道水から放射性物質が検出され、ミネラルウォーターやアクアクララやクリクラに代表されるボトルウォーターに注目が集まったのは記憶に新しいと思います。
その後水道水から放射性物質が検出される事は無くなりましたが、原発事故以降継続してミネラルウォーターを使っている方も多いようです。
この原発事故をビジネスチャンスと捉え新規参入した方や企業なども多かったのですが、需要が増えても同じようにライバル会社が増えれば、結局は潰しあいになってしまいます。
仮に今からミネラルウォーター(ボトルウォーター)市場に参入しようとするのであれば…
現在の宅配ボトルウォーター市場は成熟されてきており、各地域で各業者の販路がずいぶん確立されておりますので、今から新規に参入する場合、ある程度まとまった数の一般家庭への販路がない場合は厳しいと思って間違いありません。
そうなると、一戸一戸の家庭を定期的に回り、数もまとまっている新聞店やガス会社などに適正があるのは疑いようもなく、宅食系なども相性が良いでしょうし、一般家庭でなくても、営業や配達などで多くの業者を回る業種であれば、チャンスがあるといえるでしょう。
ただ、上記のような業種でも既存の従業員に営業や配達をさせるのを“タダ”という訳にはいかないでしょうし、様々な教育も必要になりますし、水の原価はもちろんフランチャイズのロイヤリティもありますから、実際に黒字化まで持っていくのは簡単ではありません。
参入する事自体は簡単ですが、この水事業を長く続けるには他社との差別化や信頼の構築が不可欠ですし、それをクリアしてもある程度の契約者がまとまるまでは時間がかかりますから、上手くいっても黒字化まで数年は見ておく必要があるでしょう。
新聞店は部数減に悩み、ガス会社はオール電化などで苦戦していますし、地域密着の会社であっても厳しい状況にさらされている会社が多いのが現状ですから、「何か別の事業に参入して…」という気持ちもよく分かりますが、こういったものは失敗例も極めて多いので、安易に考えず事前の綿密なシミュレートは絶対に欠かさないで下さい。
あわせて読みたい関連記事

信用取引は現物取引に比べ圧倒的に安い手数料が魅力のひとつです。しかし毎日金利や貸株料がかかるというデメリットもあり、「何日くらい保有すると現物より高くつくんだろう?」と考えたことはありませんか?その疑問に応えるべくいくつかのパターンで計算してみました…続きを読む

いざ投資をはじめようとした時「株にするかFXにするか」で迷う人は多いと思います。FXと株式投資どちらが儲かるかは人によって、もしくは投資法によって変わりますが、これらの特徴やメリットデメリットを詳しく解説しますので今後の投資に活かしてください…続きを読む

株価というのは良い材料が出れば上がり、悪い材料が出れば下がるとされています。しかし実際は全体の地合いやトレンドがものをいい、どんなに業績が良くても地合いが悪かったりトレンドが下降気味だったら株価は下がり、逆に業績が悪くても地合いが良ければ株価が上がる…続きを読む

株主優待をリスクなく貰う方法としていわゆる「優待タダ取り」というものがあります。厳密には手数料や貸株料がかかるためタダにはならないものの、銘柄を選べばかなりお得になります。しかし色々と注意点やデメリットもありますので損をしないための具体的な説明をしていきます…続きを読む

信用取引の場合2013年1月から差金決済が解禁され同一資金でいくらでも取引できるようになりましたが、現物取引の場合は差金決済が禁止されており同日中の同一資金による同一銘柄の取引は1往復までしか行えません。分かりやすく詳しい仕組みを見てみましょう…続きを読む

委託証拠金が不足し追証が発生しつつも、それを無視し期限を過ぎてしまったらどうなるのか?私自身が経験した追証から建玉を損切りしたものの結局信用取引を停止され、その後信用取引口座継続の意思確認を経て信用口座が復活した経緯を書きます…続きを読む

割安感を測る指標としてPER(株価収益率)は投資判断でよく用いられ、一般的に数字が低ければ「割安」とされますが、“マイナス”のPERはどうなのでしょうか?これは前期や今期予想などが赤字の場合に見られ、指標として意味を成しませんがV字回復への期待を込めて買うという方法も…続きを読む

株式投資とギャンブルの違いは胴元がいるかどうかもそうですが、やった後に何も残らないギャンブルと違い投資を始めると経済に敏感になり、結果経済の勉強になりますし、世界の人々が集う市場に参加するというのは閉鎖的なギャンブルの世界とは全く別物です…続きを読む