不動産で見る中国バブル崩壊
「バブル経済」の一番の象徴は「地価」であり、それは1991年まで続いた日本のバブルもサブプライムローン問題まで続いたアメリカの住宅バブルも同様でした。
バブルというのは総じて「株式や土地の価格が上昇し続ける」という前提があって起こるもので、保有している株式、土地の値が上昇すれば含み益が発生し、それを元手に新たな株式や土地を購入して資産を増やし、それによって株価や地価はどんどん上昇します。
これは見方によっては「好循環」ですが、実体経済からかけ離れた高値を付ける株価や地価というのは必ずどこかに歪を生み、その歪が表面化してひとたびハシゴが外れると状況は一転します。
土地が売られ始めると地価は下落し、今まで地価の上昇を頼みに投資をしていた多くの人間が地価の下落により資産が目減りして、それを解消するために土地を売る→地価下落…という「悪循環」に突入します。
では本題の中国はどうか?
2011年の11月に「NEWSポストセブン」の記事に興味深いものがありました↓
中国の地価は1980年代末からの21年で6732倍にも膨れ上がった計算にり、平均すると年間320%の上昇を見せてきた。との事で、さらに記事を読み進めると中国のバブルは日本とはちょっと状況が違うらしい。
中国の都市部でマンションの投げ売りが始まっている。これはもちろん大都市圏を中心とした地価の下落(中国の場合は使用権の売買価格だが)を受けた動きである。つまり、中国でもいよいよ不動産価格が頭打ちとなり始めたことを象徴する出来事なのだが、肝心なことは日本でいわれるようなバブル崩壊とも違うということだ。
日本の場合、バブル崩壊が不良債権を生み、これが銀行の資産状況を悪化させ、銀行が自己の経営健全性を保つために中小企業などを中心に貸しはがしに走り、ついには経済全体を冷え込ませたのであるが、中国の場合にはもう少し違う影響になると考えられるのだ。
というのも地価の暴騰の背景には個人で複数のマンションを買うものがいるなどの余剰資金の運用先との色彩も濃く、この場合には銀行融資はあまり関係ないからだ。つまり、地価下落で個人の資産は目減りするが、これによって銀行が大きなダメージを受けるといった日本型の問題にはならないということなのだ。
まあ出所が週刊誌系なので信頼性には若干「?」が付きますが、要は中国の地価上昇を支えている旺盛な不動産投資の多くは銀行からの借り入れではなく資産家の余剰資金で行われているから、日本のような悲惨な事態にはならないという事。
いやいや、ちょっと待て。
末端でマンションなどの不動産を買っている人間はそうなのかもしれませんが、不動産バブルに乗っかって土地を転がし、マンションを乱立させている不動産業者やマンションデベロッパーまでもが「銀行からの借り入れはない余剰資金」って事はないでしょう。
不動産価格が下落すれば不動産業者やデベロッパーはもちろん、建設会社とその下請け達に凄まじいダメージが出て、連鎖的に中国全土に不況の波が訪れてもおかしくないのでは?
その辺の影響と現在の中国の不動産価格の動向などを次のページで突き詰めていきたいと思います。
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