投資の本質を真剣に考える
株式投資などを行っている人、行っていないが興味がある人は、ある時ふとこういう疑問を抱くことってありませんか?
「投資の本質ってなんだろう?」と。
辞書で調べてみると「本質」とは「物事の根本的な性質・要素」とあります。となると投資の本質とは「投資の根本的な性質や要素」を指すことになりますがいまいちピンとこない。いやかなり。
なかなか難しい疑問。ある意味哲学的でもあります。おそらく完全な答えはないと思いますが、私なりの解釈で書いていこうと思います。人によって大きく見解が異なるでしょうから、「こいつ何言ってんだ?」と感じてもあまり深く突っ込んじゃダメ。
投資はOKで投機はNG?
ネットでの投資が普及した現在、デイトレードやスイングトレード、果ては超短期のスキャルピングと様々な短期売買の投資法が確立。しかしそんな投資法に対し「それは投資ではなく投機だ」という意見をよく耳にします。
確かに短期トレードはゼロサムゲーム…つまり損益のトータルがゼロになる投機というのは頷ける。新たな利益や金を生み出すことなく投資家間で金のやり取りをしているだけである。
株式投資が「将来性ある企業に投資し、利益が出れば還元を受ける」という前提であるなら、デイトレードなどの短期売買は投資の本質から外れるということになる。
しかし、そもそも投資って何だろう?
本来投資とは将来性を見出した対象に金を提供するものとされる。投資される側はその金を元手に成長や拡大を試み、性交したあかつきには投資した側がその見返りを受け取るというものという認識か。
その対象は企業をはじめ、一個人、設備、不動産、商品、金など多岐に渡ります。
一方、デイトレードやスキャルピングは株式を保有している時間はほんのわずか。短期売買で株を購入したからといって成長に寄与することはないでしょう。だからこれは投資ではない…確かに筋が通っているようにも感じる。
「デイトレードなんて投資じゃねえ」と考える人がいるのも理解できます。
投資の本質は金儲けではないのか?
しかし考えてみてください。
確かに一般的な「投資」と呼ばれるものは、将来性がある対象にお金を投じて成長を促すものかもしれません。しかし、それら投資の仕組みのもっと根本にあるものというのは「お金を増やす」ではないでしょうか。
「将来性のあるものに投資する」と言えば聞こえは良いですが、その根底にあるものは常に「お金儲け」であり、それは人間の欲望渦巻くものであると。
見返りが無ければそれは「寄付」であり、見返りあっての「投資」ではないかと私は考えます。結局、投資の本質はあくまでも「金儲け」だと。
その前提に立つなら、デイトレードなどの投機も投資の中の一つの手段であり、投資の本質からは外れていないのではないでしょうか。
必ずしも成功するかどうか分からない対象に資金を投じるという点は投資と何ら変わらない。儲けの質が「企業の成長」なのか「株価の上下動」なのかで異なる程度。
いわゆる“本当の投資”を行っている人にこう問うてみたい。「投資対象が失敗してあなたの資金が溶けても構わないのですか?」「何のために年を行っているのですか?」、と。
そしたらどう答えるのだろう? 「社会貢献」と綺麗ごとを吐くのか、「金儲け」と素直に認めるのか?
投資が金儲けである根拠
投資を行う側を投資家ではなく企業で考えてみましょう。設備投資、新興国への投資、インフラへの投資などなど、企業が行う投資は割と多いもの。
これ、何のために行っていますか?
新興国への支援、経済活動の活発化、景気の起爆剤…色々な綺麗ごとが浮かびます。しかし結局は自社の利益を考えてのことですよね。その利益には金以外にブランドイメージや信頼性も含まれますが、それも最終的には金に結びつくもの。
結局、投資というのは自分の利益を最優先に行うものであり、その最終目的として常に金が付いて回るのです。
つまり投資の本質は金。これは紛れもない事実であり、それに当てはめるならデイトレードなどの投機も十分投資の範囲に入る。
建前を捨ててはいけないという考え
投資はつまるところ金儲け。それが本質と言っても過言ではないでしょう。
ただ、その一方で「投資の本来の姿はWin-Winであるべき」という思いもあります。投資された側はその資金を使って成長・成功に導き、投資した側はその見返りに投資額以上の利益を得るという、どちらも幸せ理論。
もしこれが投資の本質だとするならばデイトレードをはじめとするゼロサムゲームの投機は投資の範疇から外れることになります。
しかしこのWin-Winの考え方は投資の本質ではなく「理想の投資のあり方」ではないでしょうか。
株式投資の短期トレードに限らず、今の世界経済は金融緩和などで金余りの状態が続いており、それらが様々な市場に流れ込んでおります。
そしてそれらの大半は短期的な値上がりを期待した投機マネーという現実が。
本来市場とは需給のバランスで値が決まるはずなのに、それを無視した値上がりが続いており、市場を動かせるだけの金を持つ人間は儲かっても、その裏で価格高騰や急落の割を喰うのは私達個人投資家だったりします。
そんなのはもはや投資じゃない!
これが私の正直な感想ではありますが、これが資本主義の原理と言われればそれまでですし、投資の本質が「金儲け」とするなら、これらを否定することは投資を否定することにもなってしまうのです。
私の結論としては投資の根底にあるものが「金儲け」である以上、それが本質です。投資の世界が綺麗ごとなど通じないドロドロの心理戦である点を考えれば、尚更その思いは強くなります。
これらはあくまでも私個人の見解ですので、異論反論はスルーの方向で。
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