ローソク足の種類:陽線
一口にローソク足と言っても形によって様々な呼び名や考え方があり「この形が出たから転換期だ」とか「この形だから買いだ」といった相場の予測にも使われたりします。
呼び名や形はかなりの数に上りますが、全部覚えるのは大変であるうえにマイナーなものはうんちく程度にしかなりません。あまりに多い知識は逆に混乱を招く恐れもあるので、ここでは代表的なものを紹介していきます。
ではまず始値より上昇して引けた場合に出る「陽線」から取り上げていきます。
陽線の種類と呼び名
陽線は始値より終値が高かった場合に使われるローソク足で、その長さやヒゲの状態などにより多くの呼び名があります。
その後の株価予想に役立つこともあるため、基本的な形とそこから読み取れる市場心理や状況を簡単に覚えておくといいでしょう。
大陽線(陽の丸坊主)
まず最初に紹介するのは「陽の丸坊主」という大陽線。ヒゲの無い強気一辺倒の陽線になります。
ヒゲが無いということは寄り付きから始値を下回ることなく上昇し、そしてその日の高値で引けたことを意味しています。旺盛な買い意欲に支えられ相場はかなりの強気と言っていいでしょう。
ヒゲがない長い陽線が出現した場合、何かしらの好材料が市場にもたらされた可能性が高いといえます。材料や実体を上回る過度な上昇でない限り買い継続と見るべき。
大陽線(陽の大引け坊主)
次に、同じく長い大陽線である「陽の大引け坊主」という足。
日中は始値より下げる場面があるものの、その後は上昇に転じて高値引けするとこのローソク足に。これも強気を示します。
一度値を下げた後力強く上昇して結果的に長い陽線で取引を終えた形ということで、買い意欲もしくは押し目買い意欲が強い状態と見ることができます。
下げが続いた時に出ると特に強いとされ、下ヒゲが相場の底である可能性も。
大陽線(陽の寄付き坊主)
続いても大陽線である「陽の寄付き坊主」。陽の大引け坊主の逆の形になります。
大陽線を引っ張っていることから寄付きから大きく上昇したことを意味していますが、上値付近で失速し上げ幅をやや縮小したことが伺えます。
一般的には強気とされ今後もある程度上昇を期待できるが、一度高値を付けてからの下落であるため上値が意識されている状況という見方も。今後の値動きには注意が必要です。
上ヒゲが長いようなら特に注意したほうがいいでしょう。
コマ(陽の極線)
これは「コマ(陽の極線)」と呼ばれるローソク足。比較的よく見られる形になるでしょうか。
始値に比べ一応値を上げて引けてはいるものの、相場に迷いがあり神経質な動きをしています。売り買いが錯綜している状況とも。
ローソク足本体が短ければ短いほど、上下のヒゲも短いため市場の迷いが見て取れます。膠着状態に出現しやすいローソク足。一方で安定した相場の時も度々見ることができる形でもあります。
これからの動きが読みづらいため、このローソク足が出現したら少し様子を見るか、もしくはその以前のチャートの形を総合的に判断したほうが無難でしょう。
カラカサ(陽線)
次は「カラカサ(陽線)」です。
下ヒゲを大きく伸ばしている事から、一度大きく値を下げた後に上昇に転じ、終値は始値を上回っている形。
相場の転換期を示すとされ、安値圏で現れたら上昇のサイン。市場が底を打ったと判断し一気に買いが膨らんだと見ることができるからです。
一方、高値圏で現れた場合はそれなりの売り圧力が存在するという判断から反落を示唆しているという見方も。上昇圧力が強いとも売り圧力が強いとも読み取れる微妙な線といったところか。
基本は安値圏で買いサイン、高値圏で売りサインとなります。
トンカチ(陽線)
続いて「トンカチ(陽線)」です。
上ヒゲが長く、一旦は大幅高になったものの、その後売りに押され上げ幅を縮小した形。
カラカサ同様相場の転換期を示すとされ、高値圏で現れたらそこが天井という場合が多く、今後下落に転じる可能性が高いと言えます。
上昇相場においてこのローソク足が出現したら要注意と覚えておきましょう。
トンボ
お次は「トンボ」です。
始値と終値があまり変わらないが、値動き自体は大きく下ヒゲを長く伸ばした形で、相場の転換期を示唆しているといわれます。
一般的には上ヒゲがない形を「トンボ」といいますが、ごく短い上ヒゲがあるものもトンボといいます。右図はどちらかというと十字線に近いかも…
買い売りが拮抗している状況であることから、高値圏で出現した場合は天井を、下値件で出た場合は底を意味している可能性が。
これが出たら注意深く見て行きましょう。
陽線だからといってポジティブとは限らない
「陽線」についてはザッとこんな感じでしょうか。
一口に陽線と言っても様々な形があり、その形によって示唆するものが違っていることがお分かり頂けたと思います。
陽線は始値より終値の方が高い状態で出現することから上昇相場で見ることが多く、それだけにポジティブなイメージを抱いている人もいると思いますが、必ずしもそうではありません。
表示上では始値に対し上昇している陽線でも、カラカサやトンカチのように高値圏で現れた場合相場の転換を意味するものも少なくないのです。
とはいえ、安値圏や下落相場においては陽線の出現が上昇への転換を意味している場合も多いため、投資のチャンスを逃さないためにも監視銘柄のローソク足には注意しておくようにしましょう。
では次のページでは「陰線」を解説していきます。
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