2012.05.21 PERとPBRの意味と目安
…また微妙なところで…
先週NYダウが下落したにも関わらず今日の日経平均株価は小幅上昇し、為替相場も若干ながら円安に動いています。
私が川崎重工業<7012>を買ったのが日経平均株価9100円あたりで、8500円くらいまで下がったら別の銘柄を少し買い増そうかと考えていたのですが、今日は8600円台で踏みとどまり、私としては買い増しする水準まで下がらず、でも含み損が無くなるほど上がらない付近でウロウロされるのが一番切ない感じ。
ガーンと上がるか、ドーンと下がるかしてくれたほうが色々動きやすいのですが、割安感と欧州債務問題や円高の板ばさみで動きづらいのかもしれませんね。
さて、この「割安感」を示す指標でよく使われるのが「PER」と「PBR」。
株式投資をしていればよく見聞きする言葉ですが、「詳しい意味は分からない」といった方も多いのではないでしょうか?
簡単に説明すると、まず「PER」は「株価収益率」の事で、以下の式で求められます。
株価収益率(PER) = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益(EPS)
ちなみに一株当たりの当期純利益(EPS)とは「当期純利益÷発行済株式総数」という単純な求め方もありますが、厳密には下記の式によって数字を出します。
EPS = (損益計算書上の当期純利益 - 普通株主に帰属しない金額)÷(普通株式の期中平均発行済株式数 - 普通株式の期中平均自己株式数)
…若干訳分からん…
まあ面倒なのでここでは「一株当たりの純利益(EPS)=当期純利益÷発行済株式総数」で計算するとして、例えば純利益が10億円、発行済み株式総数が4000万株で株価が500円だった場合で株価収益率(PER)考えてみましょう。
純利益10億円÷株式数4000万株=一株当たりの純利益(EPS)25円
株価500円÷一株当たりの純利益25円=株価収益率(PER)20倍
今回の計算では「PER=20倍」となり、一般的にどのくらいの数値が割安、割高の目安になるのかというと、業種や企業によっても変わってきますが、おおよそ15倍~20倍付近が平均値…というか、目安の数字です。
この数字を上回ると「割高」、下回れば「割安」と判断されます。
株が買われれば数字が増えますので、人気の銘柄などは相対的にPERは高めとなり、逆に業績が良くてもあまり人気の無い銘柄などはPERも低くなり「割安銘柄」となります。
では次に「株価純資産倍率(PBR)」を取り上げます。
株価純資産倍率(PBR)とはその企業が解散した際の価値と株価の倍率を示したもので、1倍で「株価=解散価値」となり、計算式は以下の通り
株価純資産倍率(PBR)=株価÷一株当たり純資産(BPS)
ちなみに「一株当たりの純資産(BPS)」の計算式は以下のようになります。
一株当たりの純資産(BPS)=純資産÷発行済株式総数
例えば純資産500億円、発行済株式総数1億株で株価が500円だったとして考えてみると…
純資産500億円÷発行済株式総数1億株=一株当たりの純資産(BPS)500円
株価500円÷一株当たりの純資産(BPS)500円=株価純資産倍率(PBR)1倍
…という訳で、上記の条件の企業だとPBRは1倍となります。
一応PBRでの底値の目安は企業価値と株価がイコールになる1倍で、 理論上は1倍未満はありえない事になるのですが、現在の株価水準だと1倍を切っている企業はたくさんある。
しかしこういった企業の多くは業績が悪く、必ずしも1倍を切っているから割安とはなりません。
「PBR何倍までが割安か?」と問われると、成長力などのよって大きく違ってくるので「企業によって違う」としか答えられないのですが、現在の日経平均株価が10000円を切っている状況では1倍前後か、よ~く吟味して0.7~1倍あたりの銘柄を買うか…というところでしょうか。
ずいぶんザックリとした説明になってしまいましたが、これらはあくまでも目安なので、一つの数字に固執するのではなく、いくつかの指標を見て総合的に判断するようにしましょうね。
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