米雇用統計は市場に絶大な影響力

投資をやる上で意識せざるを得ない雇用統計

多少でも投資や経済をかじったことがある人であれば必ず見聞きしているであろうアメリカの雇用統計。毎月第1金曜日に前月分が発表されるこの数字は数多くある経済指標の中でも世界中が特に注目しています。

「たかだか一国の雇用状況ごときで?」

そう感じるのも無理はありませんが、市場がこの動きに振り回される現実がある以上、個人投資家である我々はそれに追随する他ないのが実情。

これをなくして経済指標は語れないほどのインパクトがある米雇用統計について解説していきますので、今後の投資の参考にして下さい。

米雇用統計とは

雇用統計とはアメリカの雇用に関する指標のひとつで、前述のように一部例外を除いて毎月第1金曜日に発表されます。

雇用統計と一口に言っても発表される数字は複数に及び、中でも最も重要視されるのが非農業部門雇用者数。次いで失業率が重視される傾向にあるものの、利上げ観測に敏感になっている時期であれば時間当たりの平均賃金が存在感を増します。

それぞれの説明と主な影響は以下の通り。

■非農業部門雇用者数の概要と影響

非農業部門雇用者数とはその名が示す通り、農業部門以外の雇用者の増減を指す。

比較的景気の良い時は1ヶ月あたり15〜20万人増を見込むことが多く、市場予想を上回るかどうかが為替相場や株価に大きな影響を与える、雇用統計の中でも最も影響力のある数字。

市場予想を上回れば景気が良いと判断され株高ドル高になる傾向があるものの、それによって利上げ観測が強まり市場への資金流入が減少するという懸念が台頭すればダウ工業株30種平均(NYダウ)やナスダックの下落に繋がることも。

■失業率の影響

非農業部門雇用者数と並んで注目される数字とされる失業率ですが、非農業部門雇用者数が大幅に上昇する一方で失業率は上がったり、またその逆の事が起きたりと、この2つは必ずしも連動するわけではなく評価もまちまち。

個人的な感覚としては非農業部門雇用者数に比べ数字のインパクトは数段落ちる印象で、0.1〜0.2%動いたからといって市場は大した反応を示さない事が多い。

非農業部門雇用者数と合わせて判断する数字と考えられますが、重要といわれる割には失業率で相場が大きく動く場面にはあまりお目にかかれない気がします。

もしかしたらそれはリーマンショック後の長い好景気に見慣れてしまったせいかもしれず、どちらかといえば景気後退期で雇用状況が悪化している時にこそ重要度が増す指標なのかもしれません。

■時間当たりの平均賃金の影響

時間当たりの平均賃金とは平たく言えば「平均時給」。

平時は非農業部門雇用者数や失業率の陰に隠れがちな同指数ですが、金融政策に動きがある場面などでは存在感を増してきます。

特に利上げ観測が強まっている時などはインフレ率と連動性が高い平均時給に注目するケースも多く、状況によっては失業率よりよっぽど重要な数字に。

米雇用統計でどんな影響が出るのか

雇用統計が全体的に強い数字になるということは、それだけ景気が良いことを示していますので、基本的には米株やドルが買われます。

世界第1位の経済大国かつ貿易赤字が膨大(=輸入が多い)なアメリカの景気は世界中の国に大きな影響を与えるため、景気の良し悪しがハッキリと出る雇用統計は数ある指標の中でも特に重要視されるのです。

ただし、雇用は景気の遅行指数と呼ばれることもあるように、雇用の拡大は景気が良くなってから若干遅れる傾向にあり、それは裏を返せば一見雇用が順調に見えても景気の減速が始まっているケースもないとは言い切れない点に注意。

また、雇用の拡大は株価やドルの上昇に繋がりますが、平均時給が上昇したり雇用が急激に拡大したりして一定以上のインフレを予感させるようになると、利上げなどの金融引き締めが現実味を帯び株安ドル高を招くこともあります。

米雇用統計が日本に与える影響

アメリカの動向に左右されがちな日本市場においても雇用統計は極めて重要な指標に。

数字が強ければ基本的にドルが買われるため円安となります。輸出企業が多い日本企業にとって円安はプラスに働くことが多いため、株価も上昇することは想像に難くないでしょう。もちろん雇用統計が弱ければ日本は円高株安に振れやすい。

また、日本株売買の6〜7割は外国人投資家であるため、米の株価に直結する雇用統計の動きは重要。米株価が上がれば含み益が出て余裕ができるため日本株も買われる傾向にあり、逆に米株価が下がれば日本株も売られやすくなります。

ただし、これらはあくまでも“傾向”であるため、別の視点からの観測や情勢の変化によって思わぬ値動きをすることも多々あることを念頭に置くことが肝要です。

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