仕手株とは一体どんなもの?
皆さん「仕手株」ってご存知でしょうか?
株式投資の経験がある人の場合はご存知でしょうが、投資経験がない場合は「聞いたこともない」という人も多いと思います。
東証一部の中でも日経平均株価の算出に採用されるような大企業の株しか買わないというのであれば仕手株を知らなくても問題ないでしょう。しかし東証一部以外の株式や出来高が少ない株式を買う機会があるというのであれば仕手株について知っておくべき。
株価が急騰している仕手銘柄に手を出して大きな損失を被るなどの被害を未然に防ぐためにも、仕手株に関する知識を学んでおいてください。
仕手株とは
「仕手株」とは、ある程度のまとまった金額を動かせる投資家が意図的に値段のつり上げやつり下げを行い利益を出す行為、もしくは特定の銘柄のことを指し、この行為を行う投資家を「仕手筋」と呼びます。
中長期的な株の仕込みから株価つり上げまでを行うため大きな資金が必要になることから、仕手行為のほとんどは投機を行う機関投資家や資金豊富な外国人投資家が行う場合がほとんど。
普段は出来高や値動きに乏しい銘柄がいきなり急騰を始める場合は仕手筋が関わっている可能性大。多くの場合は数日間かけて異常な急騰を見せ、その後同レベルの急落により株価は元の水準に収まります。
これまで目立たなかった銘柄が、上方修正や好決算などの材料なしに出来高や上昇率で上位に顔を出した場合は要注意。
仕手株になりやすい銘柄
仕手筋が狙う銘柄には下記のような共通点があります。
- 比較的株価が安い銘柄(低位株など)
- 普段は出来高があまり多くない銘柄
- 発行株式数が少ない銘柄
大きな利益を狙ってあえて仕手株に手を出すならまだしも、自身の意に反して巻き込まれると大きな損失に繋がる恐れがあるため、仕手筋に狙われやすい株について具体的に解説します。
株価が比較的安い銘柄
仕手株に選ばれやすい銘柄の特徴として「株価の安い銘柄」が挙げられます。
50円~200円くらいの株価を付けている、いわゆる低位株が多いという特徴が。これはより多くの株式を仕込むのに株価が安い方が都合が良いからでしょう。
一方1株数千円~数万円するような値がさ株の仕手株というのはほとんど耳にしない。
買い集めやすいという理由の他に、価格つり上げが始まった際にデイトレーダーが参加しやすいという点も考慮しているのかもしれません。
普段出来高が少ない銘柄
「出来高の少ない銘柄」が仕手株として利用されやすい理由は、ある程度の大きなお金を持っていれば簡単に株価を動かすことができるからです。
出来高の少ない銘柄は売り注文の数も少なく、ある程度の株数を成行注文で買えばあっという間に値が上がります。1ティックごとに数万株の注文が入っている銘柄と数百株の注文しかない銘柄を思い浮かべれば分かりやすいか。
投資家の注目を集めるには上昇率で上位に持っていく必要があり、仮に出来高が多い銘柄だと多額の費用が必要になってしまうのは想像に難くないですよね。
ただし、あまりにも少ない場合は買い集めるのも苦労するため、少なすぎてもだめであるのは想像に難くない。適度に少ない銘柄がベターか。
発行済み株数が少ない銘柄
出来高と同様に発行済み株式数も少ないものが好まれます。
株式の絶対数が少ない場合は売り注文が入りにくくなりますし、当然出来高も少なめになります。ただ、あまりにも小型の場合株を集めすぎると大株主として四季報に記載されてしまう可能性があるため、ほどほどの小型株がターゲットに。
仕手株に選ばれやすい銘柄というのは簡単に言ってしまえば「注目度が低い小型株」ということになるでしょうか。
誰も注目していないからこそ密かに株を集めやすく、またそういった銘柄が出来高急騰や上昇率ランキングの上位に登場させることでマネーゲームの開始を投資家にアピールしやすいという狙いもあります。
実際に仕手が行われた実例
ではここで仕手が行われた代表的な銘柄の値動きをチャートで見てみましょう。
これはルック<8029>という銘柄で、かなり有名な仕手銘柄です。
見てもらえば一目瞭然ですが、2003年あたりから異常な上昇を始め、200円前後だった株価は2003年6月に2150円まで急騰しており、そこをピークに2004年にかけて急降下してます。
もちろんこの急上昇は何かすごい好材料が出たというわけではありませんし、仮に好材料があったとしてもこれだけ短期間に株価が10倍に膨れ上がるなど通常考えられません。
実はこのルック、仕手に使われた2003年以降株価は100~200円前後を推移していましたが、2012年に再び仕手っぽい動きを披露し、紆余曲折を経て2018年には5株→1株の株式併合が行われ今現在は1,000円前後。つまり実質200円くらいということに。
今後ルックが仕手銘柄として再び脚光を浴びることはさすがにないのかな。
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