原油価格を決める要因と2016年までの長期推移
原油価格のピークはリーマンショック前
世界経済とは切っても切れない原油価格の推移はどうなっているのでしょうか?
原油価格のピークは2008年のリーマンショック前となっており、下図のチャートを見ても分かるようにリーマンショックによりピークの1バレル147ドルから一気に30ドル台まで暴落しています。
もともと原油は2003年くらいまでは30ドルに満たない水準取引されており、急騰しだしたのは2004年からとなっています。
この大きな要因は世界的な景気拡大に加え中国などの新興国が台頭し多くの量の原油を消費するようになった事で需要が急激に拡大した事によるもの。
しかしそれが崩れたのが件のリーマンショックであり、その下落は凄まじいものがありました。
リーマンショックにより一気に1バレル30ドル台まで下落した原油価格も、その後は世界経済の持ち直しにより急騰し2010年~2011年頃には1バレル100ドル台に回復し、しばらくは100ドルを挟んだ動きで推移しましたが、転機が訪れたのは2014年の中頃。
チャートからも2014年ごろから原油価格が急落している事が伺え、この原因は様々あれどここでの大きな要因はOPEC(石油輸出国機構)が原油の減産に踏み切らなかった事とアメリカのシェールオイルが台頭してきた事です。
原油価格はどういった原因で決まるのか?
基本的に原油相場はその名の通り“相場”であり「需給のバランスによって決まる」というのが原則となります。
世界的に景気がよく新興国のように多くの原油を欲する国が多ければ原油の価格がどんどん上がりますし、逆に生産が行き過ぎ供給が需要を上回れば在庫がダブつき原油価格は下落します。
中東などのOPECはこれら需給のバランスを見ながら増産や減産を行い原油価格の維持に努めてきましたが、技術が進みアメリカでシェールオイルが生産されるようになる事で、OPECが減産を行ってしまった場合アメリカなどOPECに参加していない産油国に需要を奪われかねない状況になってきました。
今まで「原油はすべて我々が握っている」とばかりに産出量の調整や価格の維持を行なっていたOPECも、各国の原油が台頭してきた今かつての殿様商売は行なえなくなり、価格が下がっても生産しなければならない状況に追い込まれてきました。
そうなると減産を行なえないOPECに加えアメリカのシェールオイルも加わり供給過多の状況となり、それが原油価格を下落させている大きな要因になっています。
追い討ちをかける世界経済の減速
そういった供給過多状態の原油に追い討ちをかけたのが世界経済の減速です。
中でも石油を膨大に消費する中国をはじめとした新興国の経済に明らかな減速感が出ており、供給を減らせない状況で需要ばかりが減っているのが現状といえます。
アメリカで原油輸出が解禁された事も追い討ちをかけ、2016年現在原油価格は1バレル30ドルを割り込む事が珍しくなくなりました。
原油を輸入する立場の日本としては原油安は経済にとってプラスになる場合が多いものの、世界的に見れば原油安というのは産油国の経済に大きなダメージを与え、また巨大な石油関連企業がある米などでは原油価格は株価に直結する要因。
日本単体ではむしろウェルカムな原油安も、世界規模で見れば株価下落や経済の減速を引き起こす原油安は深刻で、結局は回りまわって日本にも悪影響が出てしまう事にも。
下げ止まりを見せない原油価格、2016年は試練の年となるかもしれません。
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