ハードランディング例2・サブプライムローン問題
前ページの日本のバブル崩壊に続いてハードランディングの実例に挙げるのはアメリカのサブプライムローン問題あたりにしましょうか。
サブプライムローンとは比較的信用性の低い低所得者向けのローンの事で、日本の消費者金融と同じように信用性が低いという事は焦げ付く可能性も高まりますので、当然金利も高くなります。
普通に考えれば信用性の低い低所得者に高金利で貸せば焦げ付くのは目に見えているのですが、当時のアメリカは住宅価格が右肩上がりで、住宅の価値が上がれば担保としての価値も上昇しますので、その担保を元に新たに借り入れもできますし、転売で利益を得る事も可能でした。
そう、いわゆる住宅バブルで、日本のバブル経済でも同じような現象が起きました…が、その後の結果は皆さんも知っての通り。
そしてアメリカも日本のバブル崩壊と同じような運命を辿ることになります。
サブプライムローン問題が表面化し、市場が大混乱したのは2007年7月~ですが、2006年から兆候は現れ始め、住宅価格の上昇は鈍化してきていましたし、返済の遅延も確実に増えていましたが、それでも表面化が1年以上遅れたのは「またすぐに上昇するさ」という楽観があったのかもしれません。
特に問題を複雑にしたのがサブプライムローンの細分化、証券化で、細分化された後、他の様々な金融商品と組み合わされたため不良債権の実態把握が困難になり金融不安が増幅され、市場はパニックに陥る結果に。
そもそも年収200万円程度の人間がプール付きの豪邸を買えるって…非常識にもほどがある。
普通の感覚ならこう感じるはずですが、そういった「普通の感覚」を麻痺させるのがバブルの恐ろしさであり、やはりこの辺は日本のバブルと完全に重なります。
一発屋のお笑い芸人は、ハシゴを外され仕事が激減するまで「この人気(バブル)はずっと続く」と勘違いする人が多いそうですが、まさにそんな感じ。
…ちょっと脱線したので話を戻し、サブプライムローン問題で金融不安は広がりましたが、ここで事態が収束していればハードランディングとまでは言えない程度の被害で済んでいたのかもしれません。
そう、実はサブプライムローン問題が表面化した約3ヶ月後にNYダウは史上最高値を更新しているのです。
しかしその後はズルズル下がり続け、サブプライムローン問題を引き金に2008年9月にリーマンショックが起き世界的に金融不安が一気に広がり「100年に一度の危機」などと語られる事になります。
つまりサブプライムローン問題単体ではハードランディングとまでは言えないけれど、それが原因でリーマンブラザーズが破綻しリーマンショックが引き起こされたので、この「サブプライムローン問題→リーマンショック」の流れで豪快なハードランディングに発展した…と見たほうがいいかもしれません。
次のページではこの「リーマンショック」について解説していきます。
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