欧州債務問題の原因と経過
2012年1月現在、世界経済に大きな影を落としている欧州債務問題。
世界中がこの欧州の債務問題の行方を注視しており、アメリカや日本など国内のファンダメンタルズはそれほど悪くなくても株価などは欧州の動きに過敏に反応している状況です。
世界経済はこんな状況なのでニュースや新聞などで「欧州債務問題」という言葉はよく目にしますが、「具体的にどんなものか?」と問われると「ギリシャやイタリアなどの国債がなんかヤバイ」といった漠然とした知識しかなかったりします。
なので「欧州債務問題」について詳しく見て行きましょう。
まず欧州債務問題の発端は2009年10月までさかのぼります。
2009年10月にギリシャでは政権交代があり新政権が発足したのですが、その際前政権の債務の粉飾が明らかになりました。
前政権では「財政赤字はGDP比で3.7%程度」と発表していたのですが、実際は12.5%(後に13.6%)であった事が発覚し、それを機にギリシャのデフォルト(債務不履行)が懸念されるようになります。
それを背景に2009年12月にはアメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がギリシャの格付けをA-からBBB+に一段階引き下げ、翌年2010年4月にはBBB+からCCCへ一気に3段階の大幅引き下げを行い不安を煽る。
その後2010年6月には同じアメリカの格付け会社ムーディーズが4段階の引き下げを行い市場の不安は一気に高まります。
そうなるとギリシャと同じユーロ圏の財政赤字に苦しむポルトガルやスペイン、イタリアなどにまで債務問題が飛び火し、やがて欧州全体を巻き込む事態に発展…といった感じで問題は徐々に拡大していく事になります。
2011年に入るとアメリカにも債務問題が発生し、こちらはギリギリでデフォルトを回避しましたが、ギリシャやイタリアを始めたとした欧州の債務問題はより深刻化し、それを背景にユーロは一方的に売られる展開に。
ちなみに世界各国の債務状況はどうなっているでしょう?
欧州債務問題は世界的な大問題になっていますが、その最たるギリシャがGDP比でおよそ170%ですが、日本はなんと233%!
債務問題の拡大でイタリアの国債も金利が上昇したりしていますが、そのイタリアの債務残高はGDP比で約120%でポルトガルは100%を少し超える程度。
日本の場合は国債の95%が預貯金などを通じて日本人が保有しているため今のところ大きな問題にはなっていませんが、もしかしたら欧州の債務問題が片付いたら今度の標的は日本かもしれませんね。
<追記>
2012年7月現在、欧州債務問題の状況は大きく変わり、ギリシャに関してはある程度落ち着きを取り戻しておりますが、代わってスペインの金融危機などの問題が台頭しており、スペインの国債利回りが大きく上昇しております。
新たな展開を見せた欧州債務問題については新たに記事を追加しておりますので、興味のある方はこちらを覗いてみて下さい。
欧州債務問題の原因は一つではなく様々な要因が重なって引き起こされた事態ですが、その原因の一つに「ユーロ自体の問題」が深く関わっていると思われます。
次のページではその辺を詳しく見て行きましょう。
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