スタグフレーションとは
インフレーションやデフレーションに比べあまり聞き慣れない、この「スタグフレーション」。
スタグフレーションとは「停滞」という意味の「Stagnation」とインフレーション「Inflation」を組み合わせた造語で、その組み合わせ通り経済の停滞や不況と同時に物価上昇(インフレ)が起こる事を指します。
近年の日本を見てもらえば分かる通り本来経済が停滞もしくは後退している時というのは消費も弱く、結果物価が下がる「デフレ」になりやすいのですが、何らかの原因で不況にも関わらずインフレ圧力が強まるとデフレーションの恐れが出てきます。
スタグフレーションを引き起こす、この「何らかの原因」の多くは原油や穀物、小麦粉などの原材料価格の上昇で、国内の消費、需要は弱いものの、供給側が原材料価格の上昇を企業努力で吸収できないまでになると価格に転嫁せざるを得ず、これがスタグフレーションの原因になります。
安定的かつ持続的な経済成長には1%~2%程度のインフレが理想的と言われています。
対してデフレは消費の弱まりが物価下落→企業の業績悪化→賃金、雇用減少→消費の弱まり…というデフレスパイラルに陥る恐れが高く経済全体で見た場合良い事はほぼありません。
そしてスタグフレーションは経済が停滞しているにも関わらず物価は上昇する訳ですから急激に消費は弱まり、デフレとは違う意味で経済に大きな打撃を与えます。
実は近年日本でもこのスタグフレーションの影が見えはじめています。
日本の景気停滞は今に始まったことではなく、長らくデフレに苦しんでいましたが、近年の世界的な景気減速で各国金融緩和を推し進めており市場にお金が溢れ、それでなくても新興国の原油需要の高まりや新燃料のバイオエタノール関連で原油や穀物価格に上昇圧力が高まっている所に追い討ちをかける様に溢れたお金が原油や穀物など商品に流れ相場を押し上げているのです。
ではスタグフレーションの解決策は?
消費が弱い所に物価上昇でさらに急激に消費は弱まることになる一方、企業も原材料価格の高騰で物価を上げている訳ですから利益も減る事になり、業績悪化→賃金低下…と、デフレと同じ道を辿ることになりがちです。
解決策を見出すのは困難を極めますが、事業の効率化で無駄なコストを徹底的に削減する企業努力が必要になるのは言うまでもありません。
短期的に失業率は増えますがリストラなども必要になってくるかもしれません。
世界情勢が変わって原材料価格が自然に下がるならそれに越した事はありませんが、そんな他力本願では心許なく、よっぽど大きな国の支援がない限り企業として大胆に動かないと解決策は見出せないという結論に達してしまいます。
でも元をただせばこういった原材料価格の上昇は大金持ちの自分の利益しか考えていない投機マネーが大きな原因で、そんなものに経済が振り回されていると考えると腹立たしい事この上ないですね。
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