金融緩和や金利が株価に与える影響

リーマンショック以降、見聞きする事が多くなった「金融緩和」という言葉。

金融緩和は各国の中央銀行が景気を刺激するために行う政策で、一般的には政策金利を引き下げる「利下げ」を行います。

金利を引き下げると株価にはどういった影響を与えるのか?

一般的に金利を引き下げると株価は上昇します。
その理由は、金利を引き下げると金融機関などの預貯金の“うまみ”が減る事になりますから、多少のリスクを取っても株式などの資金が流れるからです。

しかしこれはあくまでも一般的な金融緩和の話であって、リーマンショック以降、日米では事実上のゼロ金利政策を取っており、これ以上の金利引き下げは行えません。

これ以上金利の引き下げが出来ない場合は、銀行が保有している国債や株式などを買って市場にお金を流通させる事によって、個人や企業への貸付を促したりする「量的緩和」などが行われています。

いわゆる市場にお金を“ジャブジャブ”溢れさせる政策で、これにより先に書いたような個人や企業への積極的な貸付を促すのはもちろん、市場に出回るお金が増えれば、その一部が株式市場などに流れ込み株価を上昇させる要因にもなりますし、お金の流通量が増えれば価値が下がりますから「通貨安」という形で輸出企業などに大きな恩恵が及びます。

これら政策はリーマンショック以降多くの国々が行っており、特にアメリカは度重なる金融緩和により歴史的なドル安となり、それが自国の経済を支える要因になった一方、日本での金融緩和は後手後手に回り、結果として極端な円高に苦しみました。

その流れを大きく変えたのが2012年11月の民主党による衆議院解散宣言と自民党圧勝による通称「アベノミクス」の発動で、これにより国際社会に強く「徹底的な金融緩和を行いインフレに導く」というメッセージを発信し、急激な円安と株高をもたらしたのは記憶に新しい。

この事からも金融緩和が株価に与える影響の大きさが見て取れると思います。

ただ、近年はどの国も「金融緩和」一辺倒ですが、サブプライムローン問題やリーマンショック前の2007年頃までは、良好な世界経済によりアメリカや欧州はじめ多くの国々で「金融引き締め」が行われておりました。

金融引き締めは金融緩和の逆で、行き過ぎた景気やインフレを抑えるために金利を上げたり公定歩合を引き上げたりし、通貨の流通料を抑える効果を発揮し、引き締めが行われれば一般的に株価は下がります。

ただ、金融引き締めが行われるという事は、景気に過熱感がある場合が多いので、利上げなどが行われても良好な経済状況を背景に株価が下がらない場合もあります。

■まとめ

●金融緩和は利下げや量的緩和により市場へお金を供給する政策
●金融機関の金利は下がり、余ったお金が株式市場に流れる事から株価上昇期待になる
●金融緩和により景気やインフレに過熱感が出れば金融引き締め策に転換

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