欧州債務問題に対する各国の対応
欧州債務問題を引き起こし、問題の中心にいるのはやはりギリシャですが、事はもはやギリシャ一国でどうにか出来るレベルではなく、欧州各国の政府、中央銀行、ECB(欧州中央銀行)などはもちろんIMF(国際通貨基金)をも巻き込んだ事態に発展しています。
そもそもGDP比で233%の日本の債務に比べれば若干マシなGDP比160%程度のギリシャでこれほど問題になっている原因は欧州を中心とした他国がギリシャ国債の多くを保有しているからなのですが、各国協議の結果ギリシャ国債を保有している各国民間金融機関に対して50%の債務減額で概ね合意しており、計画的なデフォルト(債務不履行)となりそうです。
ただ右図を見ても分かる通り欧州の債務問題はギリシャだけに留まらず、イタリアやポルトガル、アイルランドなど全体的に財政状況は芳しくないので、ギリシャ以外の国の債務なども睨みながらの協議が続いています。
それは各国の中央銀行が資金を拠出し救済にあてるという金銭的なものから、EU全体で統一された財政ルールなどの導入を目指すなど多岐に渡ります。
しかし各国金融機関と民間部門での債務に関する協議は難航しており、この状況では各国中央銀行の負担はさらに増える恐れもあり、未だ予断を許さない状況が続いているのが現状です。
一口の「欧州」といっても各国で債務問題に対する温度差は否めず、特にイギリスは独自通貨(ポンド)を貫きユーロに加盟していないので微妙に立場が異なり、EU加盟27ヶ国での基本条約を改正して財政ルールを盛り込むという案にも唯一反対しており、孤立気味に。
一方で欧州外の国に目を向けてみると、アメリカの対応は比較的ドライで、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は欧州債務問題がアメリカ経済に悪い影響を与える可能性に言及してるものの、一方で欧州銀行への追加支援の意思はないとも語っており、「欧州の問題は欧州で解決してくれ」というスタンスが見て取れます。
では我が国日本はどうか?
今の所欧州債務問題に対して直接的な対応をするといった話は聞こえてきません。
ただ欧州の問題に起因した株安や円高などの様々な問題が発生しているのは事実なので、これらに対しては為替介入をはじめとした対応を一応取ってはいる…のですが、目に見えた効果は今の所出ていないのが現状でしょうか。
まあ欧州債務問題にはIMFも絡んできていますし、となればIMFに約10兆円の資金拠出を行っている日本は間接的に援助しているといっても良いのかもしれませんが…
では次のページでユーロ発足からほぼ右肩上がりで上がり続け、ピークでは「1ユーロ=170円」まで上昇したものの、その後の様々な世界的危機で急落していったユーロの値動きを詳しく見て行きましょう。
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