戻り売りの活用法と注意点
戻り売りを知ると勝率が上がる!
投資関連のニュースなどで「戻り売りが出やすい」などの文言を見かけることって多いと思います。この戻り売りとは下降トレンド中の一時的な上昇時に利益確定の売りや空売りが出ること、もしくはそういった投資法を指します。
戻り売りは押し目買いと対をなすもので、押し目買いが上昇トレンド中の一時的な下落時に買っていくのに対し、戻り売りは下降トレンド中の一時的な上昇時に売っていく動きのことで、これらを知ることによって相場の動きがなんとなく掴めると思います。
では具体的な戻り売りについて触れていきたいと思います。
戻り売りの具体例
戻り売りは下降トレンド中の一時的な上昇の際にまとまった売りが入り再び下落に転じることを指しますが、言葉では伝わりにくいので実際のチャートで説明したいと思います。
このチャートでは青〇の部分が戻り売りに相当し、下降トレンド中に上昇に転じるも、ある程度上昇したところで再び下落しているのが見て取れると思います。
これは戻り売りが発生する少し前の底値で買った投資家が利益確定すると共に、戻り売りを期待した多くの投資家による空売りが入ることでこういった現象が起こります。
株価というのは下降トレンドにしろ上昇トレンドにしろ大きな波の中で小さな波をいくつも形成するのが一般的で、下降トレンド中の小さな波の頂点が戻り売りのポイントとなっているのです。
戻り売りをどうやって投資に取り入れるか
「下降トレンド中の一時的な上昇時に売られる、売ること」を戻り売りというのは分かっていただけたと思いますが、実際これをどうやって投資に活かせばいいのでしょう?
というのも、上図チャートは過去のものを用いた結果論なので、「ここが戻り売りポイントだよ」と言うのは簡単であるものの、現在進行形の相場において戻り売りが入るポイントを見極めるのは至難の業。
また、上図チャートの一番右端の戻り売りの後は上昇トレンドに移行していることが見て取れ、下降トレンドがどこまで継続するのかという見極めも重要になってきます。
ただ、戻り売りが発生しやすいポイントというのは存在していて、その典型的なものが「3分の1戻し」「半値戻し」です。
これは直近の高値と安値に対して3分の1や半値戻したところで戻り売りが出やすいことを示唆しており、特に半値戻し付近は重要なポイントになります。
上図は分かりやすい例で、下降トレンド中でも上昇局面はあれど多くは半値もしくは3分の1戻したところで再び下落しているのが見て取れます。
もちろん「そういう傾向が強い」というレベルのものですから確実ではないものの、闇雲に売るよりは半値戻しや3分の1戻しを想定したほうが勝率が高まるのは間違いありません。
戻り売りの注意点
多くの投資家が意識する戻り売りですが、あくまでも目安なので過信は禁物です。
「そろそろ半値戻しだから売って利益確定しておこう」というのであれば、仮にそこから上昇しても「もう少し待てば良かったな」という程度で済みますが、戻り売りを期待して空売りする場合は注意が必要。
空売りしたあと思うように戻り売りが出ずそのまま上昇トレンドに入ってしまうと損失はどこまで広がるか分からず、毎日貸株料がかかる上に制度信用取引であれば6ヶ月の縛りがあるので塩漬けもできません。
戻り売りを期待して空売りする場合は「ここまで上昇したら損切りする」というラインを必ず設定しておきましょう。
重要なのは投資家心理
ここで取り上げた戻り売りにしろ押し目買いにしろ、値動きにそういった傾向があるということは多くの投資家がそれを意識することでもあります。
相場は人が動かしているものなので投資家心理がいかに重要かは言うまでもなく、多くの人間が「戻り売りが出やすい」と感じればそのとおりに動くことが多く、それこそがテクニカル分析の本当に狙いでもあるのです。
思いどおりに行かないことも多々ある株式投資ですが、戻り売りは買いで短期的な値幅を取るのはもちろん、空売りで大きな利益を生み出す可能性がありますので、ぜひとも覚えておいて下さい。
ただ、空売りしたはいいもののもし戻らず上昇トレンド入りすると損失は膨らむ一方になってしまうので、適切な損切りラインを設けることも忘れないようにしましょう。
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